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結晶と一体化できる?ジェムフィールズ社とアーテイストがコラボした不思議な世界VOID体験レポート

VOID

9月14日から22日まで、ロンドンで「ロンドンデザイン・フェステイバル」が開催されました。

これは、アーティストによる作品がロンドンのあらゆる場所に展示されるフェステイバルで、ヴィクトリア&アルバート美術館やフェステイバル委員会によるプロジェクトなどが街中のあらゆる場所で発表されました。

その中で今回私が訪れたのは、鉱物好きならきっと行きたくなるに違いない「VOID」エキシビジョンです。

アーティストのダン・トビン・スミスとクリエイティブ・スタジオの「ザ・エクスペリメンタル・マシーン」が、ロンドンの宝石商社ジェムフィールズとパートナーシップを組んだプロジェクトです。

さて、気になるVOIDの内容とは…?

早速、レポートをお伝えしたいと思います!

真っ暗な展示室に浮かぶ宝石

VOIDが展示された会場は、ロンドン北にあるおしゃれな地域「エンジェル」です。

アンティーク店やカフェ、マーケットなどが立ち並ぶ「カムデン・パッセージ」を抜けた先にある、「コリンズ・ミュージック・ホール」内で開催されました。

入場は無料。受付を抜けると、真っ暗な空間へ。階段を降りていくと、真っ暗な中にガラスケースが立ち並んでいます。

まずは、ジェムフィールズによる宝石の展示からスタートしました。

ジェムフィールズは、ロンドンを拠点とするルビーとエメラルドのサプライヤーです。

モザンビークやザンビアに鉱山を所有し、ファベルジェも買収したことで知られています。

ザンビア産エメラルド

上の写真はザンビア産のエメラルドの原石です。

カゲム鉱山で産出されたもので、大きくて鮮やかな結晶が揃っていますね。

ジェムフィールズのエメラルドは、ほかのものよりも鉄の含有量が多いため、もろくなく透明感も高いのだそう。

また、クロムと鉄とベリリウムを含むものが多く、これらは美しく強い緑色を呈するそうです。

ほとんどがバナジウムを含まないため青緑をしており、アイクリーンな結晶が産出されるのだそうです。

モザンビーク産ルビー

こちらの写真は、モザンビークのモンテプエス鉱山で産出されたルビーです。ピンク味を帯びたものや美しい赤色のルビーが展示されています。

モンテプエス鉱山では、2014年に40.23ctのルビーが産出されたことで話題になりました。

ジェムフィールズは、世界での色石の需要を高めるため、多大な努力を実践している企業なのです。

展示ルームには、45.30ctのプレーナイトや、69.51ctのパイライト入りクオーツなど、いくつかの珍しいルースも展示されていました。

宝石の内部に魅了された、ダン・トビン・スミスとは?


出典元:https://www.londondesignfestival.com/

それでは、宝石展示室から地下3階へと降りて、ダン・トビン・スミスのプロジェクトへと移動しましょう。

ダン・トビン・スミスは、静物を対象とするフォトグラファーです。

雑誌をはじめロレックスやナイキ、H&Mといった企業やアレキサンダー・マックイーンの映画「マックイーン」のポスターなどを手掛けてきました。

ダンが今回のプロジェクトを始めるきっかけになったのは、宝石のインクルージョンの写真集をプレゼントされたことだそうです。

これまで見たことのない結晶の内部の世界に魅了された彼は、5年もの歳月をかけて結晶についてを学びます。

そうして宝石鑑定用の顕微鏡を使用して結晶の内部を撮影し、100種類もの写真を撮ることに成功したそうです。

結晶内部に入り込んだみたい!?


出典元:https://www.londondesignfestival.com/

こうして出来上がった写真をプロジェクターから大きなスクリーンに映し出し、まるで結晶内部に居るような気分にさせてくれるのが今回のエキシビジョンでした。

結晶内でインクルージョンが動いているように見せているので、内部から結晶の成長過程を見ている感じがしました

空中に浮いた四角いテントのようなスクリーンに結晶の内部が映し出され、下には座ったり寝転んだりして眺めることが出来るスペースが設けられています。

こうしてスクリーンを見ていると、まるで結晶の一部になったようでした。

会場となった「コリンズ・ミュージック・ホール」は、地下3階から吹き抜けになった作りです。

最下部で演奏する音楽が上階に広がる形で、地下2階と1階からは壮大な雰囲気を味わえます。

癒される環境音楽が効果音して流され、円形のミュージックホール全体に美しく響き渡っています。

なんだか、宇宙空間を浮いているような不思議な感覚でした。

何千、何億年も前に地球の奥深くで生成した鉱物たちと一体化したような、私たちもそんな地球や自然の一部なんだ、と改めて感じさせてくれるエキシビジョンでした。

最後に

古代の人達は、宝石は宇宙や海からの贈り物だと信じ、神に捧げて崇めていたといいます。

今回のプロジェクトを体感して、宝石と壮大な宇宙の神秘を感じたような気がしました。

天然の鉱物だけが持つインクルージョンの世界は、本当に不思議で美しいものだなあ、と改めて実感した日でした。

カラッツ編集部 監修