ヒスイ?キツネ石?1番分かりやすい見分け方の解説記事

ヒスイ

鮮やかなグリーンカラー。透明感のあるとろりとした艶を持つ石、ヒスイ。ダイヤモンドやサファイアのような輝きはありませんが、あのぽってりした形と色を見るだけで癒されます。実は私が最も好きな石です。

しかしこのヒスイ、宝石の中で最も本物と偽物との見分け方がつかない厄介な石。そしてヒスイと名の付く石は複数あり、専門家でも見分け方は難しいのです。

これはヒスイ?それともキツネ石?あなたもきっと迷うはず。今回は、一番わかりやすい見分け方をご紹介しましょう。

そもそもヒスイとは

日本のヒスイ

ヒスイは日本でも採取できます。新潟県の糸魚川産ヒスイ、北海道の旭川産ヒスイは有名ですよね。日本には10箇所ほどヒスイ原石産地がありますが、残念ながら日本ヒスイは宝石加工には適さない品質が多いため、宝石店に出回ることはほとんどありません。

しかし日本のヒスイは縄文時代以降5千年の歴史があり、ヒスイの勾玉はお守りとして今でも人気があります。ヒスイの名品といえば台湾の故宮博物館に所蔵されている「白菜」が有名ですが、日本の出雲大社にも素晴らしいヒスイの勾玉があります。

ヒスイの種類

ヒスイは漢字で書くと「翡翠」となります。カワセミの美しい緑の羽根のような色合いの石という意味があります。

現在一般的に宝石の「翡翠」と呼ばれるものはジェダイド(硬玉)のことを指しますが、ネフライト(軟玉)と呼ばれるとてもよく似た鉱物があります。

実際両者は同じ鉱物だと何千年も信じられていましたが、1863年にフランス人鉱物学者が全く異なる鉱物であることを解明しました。

ヒスイと呼ばれる石

昔はネフライトを「台湾ヒスイ」などと呼び、宝石店でヒスイとして販売されていましたが、現在の日本では、宝石のヒスイというと、硬い石のジェダイドのみにその価値を認めています

ヒスイ、という名称にも騙されてはいけません。例えば、インドヒスイはグリーンアベンチュリン、オーストラリアヒスイはクリソプレースというヒスイとは異なる鉱物からできた宝石です。

ヒスイの産地は中国だと思っている方が多いようですが、中国ではジェダイド(硬玉)は産出されていません。中国の観光地で多く売られている「ヒスイ製」と書かれた仏像やアクセサリーはほとんどが、ネフライト(軟玉)または他の石でできているといわれています。

ヒスイの色

ヒスイはカラーバリエーションが豊富で緑色の他にオレンジや黒などもあり、日本で緑の次に人気があるのはのヒスイです。これは「ラベンダーヒスイ」と呼ばれています。

最高級のヒスイの色は「琅玕(ろうかん)」と呼ばれています。琅玕(ろうかん)は透明感がありテリが良くトロリとした鮮やかなグリーンの色をしています。

本物か偽物か?ヒスイの見分け方

宝石のヒスイの見分け方

販売店の店頭でヒスイが本物か偽物を見分ける方法として、ペンライトなどで石の裏から光を当てる方法があります。本物のヒスイなら、どんなに高級なものでもうっすらとした濃淡やごくごく小さなチリのような内包物があるはずです。

樹脂加工された偽物の石透明度が低い他の緑の石の場合は、色はほぼ均一で色むらなどは見当たらないのが一般的です。

ただし、大きさや品質によっては、それだけでは本物か偽物か肉眼では全く見分けられないものもありますのでご注意ください。

鉱物のヒスイの見分け方

宝石店ではなく、例えば新潟県糸魚川市のヒスイ海岸などで、拾った原石のヒスイとヒスイによく似たキツネ石(ロディン岩)とを見分ける方法として一番確実なのは、「削ってみる」ことです。

キツネ石、その他ネフライト(軟玉)の石は、鉱物用のカッターで削ると一瞬で石の内部まで刃が通ります。しかしジェダイド(硬玉)の場合は、石にカッターの刃を当ててもガリガリと表面が削れるだけです。

しかしこの方法では判別できたとしても、研磨してみたら、全くといっていいほど見分けはつきません。お店に並んでいる状態では見分けるのが難しいというのが現実でしょう。

もっと確実に見分けるには?


本当にジェダイド(硬玉)かどうかを判別するには、やはり専門の鑑別機関に持ち込むのが一番確実です。ネフライト(軟玉)の主成分はアクチノライトトレモライトで、ジェダイド(硬玉)はジェダイトという鉱物でできていますから、専門の機械で計測すれば違いは一目瞭然です。

最後に


いかがですか。プロの専門家でも見分けがつきにくいヒスイの見分け方。おばあちゃんの形見のヒスイの指輪が、実は調べたらネフライトだった、という話は今でも良く耳にします。

そんなプロでも見分け方が難しい宝石ですので、購入する時はヒスイに詳しく、信頼できるお店で購入することをお勧めします。「ジェダイドのヒスイが欲しい」と言えば、きっときちんと応えてくれるはずです。

カラッツ編集部 監修