GIAに聞いた!最先端の試み 養殖真珠に関する新しいサービスがスゴイ理由

養殖真珠分類レポート

ダイヤモンド鑑定宝石鑑別の権威として世界的に知られるGIA(米国宝石学会)。

研究機関としても広く知られ、長い歴史をもちます。

そんなGIAさんからこの度真珠レポートに関する新サービスを開始されたと伺い、早速カラッツ編集部がお話を聞きに行って参りました!

これまでも真珠に関する鑑別レポートは幾つかお出しになられているGIAさんですが、今回新たに始まったサービスは何が違うのでしょうか。

今までのサービスとの違いどこが特別なのか、価格は?など色々詳しく聞いてきたようですので、分かりやすくご紹介していければと思います!

GIAの真珠鑑別について

出典元 [Gemological Institute of America Inc.]

ダイヤモンド鑑定の世界基準(4C)を築いた機関としても有名なGIA

冒頭でも触れたように、宝石学の世界的な権威としても知られ、ダイヤモンドだけでなく様々な宝石について日々研究されています。

真珠についても同様で、GIAの真珠鑑別1949年に始まりました。

これは世界的に見ても早い方で、真珠鑑別の先駆者として高い技術と自信を誇っていらっしゃいます。

GIAの真珠鑑別は、クライアントから預かった真珠の重量と寸法を測定するところから始まります。

その後、基本的な検査エックス線などの高度な装置によるテストを行い、真珠の種類処理の有無などを調べます。

次にマスターストーンと比較して、光沢表面調和性などを評価していきます。

その後真珠は別の鑑定士に渡され、必要な全ての観察検査独立して行われます。この時必要に応じて専門研究者などが調べる場合もあるそうです。

結果が確定したらレポートが作成され、記載内容の確認後、預かった真珠とともにクライアントに渡されます

検査した真珠の記録は、GIAのデータベース上に永久保管されるとのことです。

今回始まった新サービスとは?

養殖真珠分類レポート

今回始まった新サービスは、「養殖真珠分類レポート」です。

GIAでは従来、「真珠鑑別レポート」と「真珠鑑別及び分類レポート」の2種類のレポートを発行されていました。

真珠鑑別レポート」は、重量や色などその真珠に関する基本情報鑑別(天然か養殖か)、母貝の種類生成された環境(海水か淡水か)などが書かれる、いわば鑑別書です。

そして、「真珠鑑別及び分類レポート」は、真珠鑑別レポートの内容に、グレーディング評価を加えた総合レポートです。

そして今回加わった新サービス「養殖真珠分類レポート」は、養殖真珠に特化して出されるグレーディングレポートです。

これは、未処理の養殖真珠のみを対象とするもので、GIAが独自に設ける7つの項目に基づき評価され、結果が記されるものです。

グレーディング評価のみで、鑑別結果は記載されません。

今までとの違い、何が特別なのか?


この新サービスと他の2つのレポートとの大きな違いは、先に記したとおり、新サービスは未処理の養殖真珠のみが対象ということ。

グレーディングのみを記載しているということ。

そして、それに伴い、他の2つのレポートよりも安い価格設定がされているということの3つです。

もう少し詳しくお話しましょう。

今までとの違い

評価の対象となる真珠は、アコヤ真珠南洋真珠(銀縁種または金縁種の白蝶)、タヒチ産(黒蝶)の3種類のみです。

鑑別書としての役割はなく、グレーディングのみが記載されます。

また、価格の面でも他の2種類のレポートと大きく異なります

「養殖真珠分類レポート」は、「真珠鑑別レポート」のおよそ1/2、「真珠鑑別及び分類レポート」のおよそ1/3以下の価格で発行してもらえます。

評価対象を限定グレーディングに特化することで、実現できた価格とのことです。

また、レポートのサイズも他の2つのレポートに比べ小さく約半分位の大きさになります。

グレーディングのみのレポートではありますが、評価の過程で、何かしらの疑問が生じた場合は検査をし、処理など引っかかる点がある場合は自動的に鑑別レポートに切り替えることもあるそうです。

もしも鑑別まで必要な場合は「真珠鑑別及び分類レポート」を取って頂く形となります。

GIA「養殖真珠分類レポート」が特別な点

養殖真珠だけに特化したグレーディングレポートは、国内では恐らく初、世界的に見ても今のところあまり多くないそうです。

ある場合でも、価格が高いものが多く、その点においても、今回のGIAの「養殖真珠分類レポート」は画期的な挑戦といえます。

鑑別まで必要ない場合は大変利用しやすいのではないでしょうか。

また、他のGIA鑑別書同様、全て英語表記ですので、そのまま世界市場に出すことも出来ます。

真珠鑑別においても世界をリードするGIAのグレーディングレポートですから、高い信頼感を与えられますし、海外取引には特に有利に働くのではないかと思います。

新サービスが生まれたきっかけとは

GIAが真珠鑑別を始めてから、約70年近くになりますが、その長い歴史の中で、GIAの2つのレポートのためにこれまで持ち込まれた真珠は天然ものが多かったそうです。

しかし実際の真珠取引では約99%が養殖といわれています。

そのため、養殖真珠においても世界中のお客さまに向けて、正しいクォリティ分類ができるようなサービスを提供していきたいということが、今回のサービスが始まった一番のモチベーションだったといいます。

また、最近は新型コロナの影響もあり、オンラインショッピングの業者が増加しましたが、オンラインショッピングの、特に北米の業者は、鑑別レポートを付けずに販売していたケースが多かったそうです。

そういった、クォリティが分からない中で販売されているものが多い状況をサポートする必要性を感じたということも、サービス開始に至ったきっかけの一つだったようです。

GIAの鑑別書は紙版のレポートだけでなくデジタルでも閲覧ができますので、オンライン販売にも適しているといえます。

その点でも時代に合ったサービスといえるのではないでしょうか。

サービスが開始されたのはいつ?

まず世界に先駆けて、2021年1月からアメリカ香港バンコクでサービスが開始されました。

日本でのサービスが開始されたのは、5月からということです。

価格は?

では、「養殖真珠分類レポート」の価格はどれくらいなのか、主なものを幾つかご紹介しましょう。(すべて税込)。

まず、ルース1個の価格は、4,730円です。確かにかなりお得な価格ですね。

従来の「真珠鑑別レポート」14,080円「真珠鑑別と分類レポート」15,840円ですので、約1/3~1/4に近い価格で依頼できるということですね。

ネックレスの場合は5,940円、ジュエリーなど台座付きアイテム4,730円となります。

いずれも破格的価格といえるのではないでしょうか。

ちなみに、真珠を連ねたネックレスは、真珠をひとつずつ見てもらえるそうです。

2連ネックレスは(半額の)追加料金が加算されます。1連は25インチ(63.5cm)という基準で、長さごとに追加料金が加算されます。

その他、詳しい価格については、GIA公式サイトにてご確認ください。

それぞれの鑑別レポートに記載される内容

GIAのもつ「真珠鑑別レポート」、「真珠鑑別と分類レポート」、「養殖真珠分類レポート」の3つのレポート。

記載される内容は具体的にどう違うのでしょうか。

3つのレポートで共通して載るものはサイズなどの基本情報と評価対象となる真珠の写真です。

追加としてコメント欄に「色はゴールデンとして知られている」「養殖アコヤ真珠はプロセスされている」といった旨が記載されることもあります。

では、それぞれの記載内容について、サンプル写真と共に紹介していきましょう。

真珠鑑別レポート

出典元 [Gemological Institute of America Inc.]

鑑別結果として、天然か養殖かの判別、母貝の種類海水か淡水であるか、処理の有無などが表記されます。

詳細では、形状オーバートーンオリエント、(検査したルースなどの)数量重量大きさに加え、コメントが記されます。

真珠鑑別及び分類レポート

出典元 [Gemological Institute of America Inc.]

上記の鑑別レポートと同じ内容(鑑別結果と詳細など)の他、真珠のグレーディング結果が記載されます。

グレーディングは照り(光沢)、表面特徴真珠層の品質連相について、それぞれの評価が書かれます。

評価基準は、以下のように記載されます。

照り(光沢)と調和性は「優秀(Excellent)」「とても良い(Very Good)」「良い(Good)」「普通(Fair)」「悪い(Poor)」の5段階です。

表面は「無傷(Clean)」「わずかな傷(Lightly Spotted)」「中程度の傷(Moderately Spotted)」「多くの傷(Heavily Spotted)」の4段階となります。

養殖真珠分類レポート

出典元 [Gemological Institute of America Inc.]

7つの真珠バリューファクター

●大きさ
●形状
●色
●照り(光沢)
●表面
●真珠層の品質
●調和性

におけるグレーディング結果が記載されます。

大きさはミリメートルで表記され、形状はラウンド、ほぼラウンド、ドロップ、ボタン、オーバル、バロック、セミバロックなどと記載されます。

色は真珠全体のボディカラー付帯的な色相(オーバートーン)、さらに虹色のオリエントの組み合わせによって評価されます。

照り(光沢)と調和性、表面の評価基準は、「真珠鑑別及び分類レポート」と同じです。

一般でも利用できるの?


世界的権威であるGIAの鑑別書は、一般人では利用できないのではないかと思われるかもしれませんが、ご安心下さい!

アカウント作成すれば、どなたでもご利用可能だそうです。

顔写真付きの身分証明書を提示すれば、すぐにアカウントを作成してもらえます。

一般も法人も料金は同じですが、法人の場合はアカウント作成時、身分証明書だけではなく、登記簿なども提示する必要があるそうです。

最後に

新しく始まった養殖真珠分類レポートは、今後アジアヨーロッパなどにも幅広く展開していく予定だそうです。

日本の卸売市場で真珠は大きなマーケットであるため、海外取引に対するサポートをして、今後の成長に協力できればとのことです。

養殖真珠の評価レポートが付属していれば、取引や購入の際にも、安心して選ぶことができますね。

ご興味がある方はGIA公式サイトにて詳細をご確認ください。

カラッツ編集部 監修