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地味に凄いキャッツアイの魅力を宝石屋が熱く解説します!

クリソベリルキャッツアイ ルース

地味に凄いキャッツアイの魅力を宝石屋が熱く解説します!

かつて日本人はこの『キャッツアイ』という宝石の熱狂的ファンだったことがありました。

戦後から高度成長期にかけて、日本が目覚ましく「所得倍増」計画を掲げて躍進する中、このキャッツアイをスリランカから家族への土産に持ち帰った男性がいます。その値段はおよそ1千万円。時の総理大臣、池田勇人です。

「貧乏人は麦を食え」発言で物議を醸した男、池田元総理大臣は元々は地方の税務署長。見た数字は忘れないという抜群の記憶力と、倹約家で知られていました。

そんな男性が1千万円も投じるほどキャッツアイは魅力的な宝石だったのです!

このキャッツアイの魅力を、あなたにもぜひ知って欲しい!今回も熱く語らせていただきます。

ダイヤモンド以外の全ての石はキャッツアイ?

石の真ん中に猫の目のようにくっきり浮かぶセンターライン。このラインをキャッツアイ、専門用語で「シャトヤンシー」効果と呼びますが、実はこれは針状の内包物がある宝石を丸くカボッションカットすれば、全てに出る現象です。

有名な宝石では「トルマリンキャッツアイ」「エメラルドキャッツアイ」がありますが、実はキャッツアイが出る宝石はなんと50種類以上。

正直ダイヤモンド以外の宝石は全てキャッツアイが出る?と思うほど種類が豊富なのです。

しかしその中で私たちが一般的に『キャッツアイ』と呼んでいるのはクリソベリルという鉱物。

そう、「クリソベリルキャッツアイ」こそがいわゆる”キャッツアイ”と呼ばれ親しまれている宝石です。

よくネットなどで見かける「ピンクキャッツアイ」などはガラスでできた人工石のこともありますので注意してくださいね。

他にも「シリマナイトキャッツアイ」「ネフライトキャッツアイ」といった鉱物でできたキャッツアイもありますが、クリソベリルキャッツアイに比べて宝石としての価値は非常に低くなります。覚えておくといいでしょう。

そしてクリソベリルといえば、5大宝石の中で最もレアな宝石、アレキサンドライトも有名です。

キャッツアイの王様「アレキサンドライトキャッツアイ」

1830年、ロシアで発見された宝石がアレキサンドライト。12歳の少年皇太子アレクサンドルの誕生日に献上されたことから、この名前が付けられたと言われています。昼の太陽光の下では青く、夜の人工照明の下では赤い色に変化するのが特徴です。

元々クリソベリルキャッツアイはハニーイエローとアップルグリーンのカラーのものが極上のキャッツアイと言われています。

その中で、赤と青に変化する「アレキサンドライトキャッツアイ」は大変希少です。コレクターに根強い人気があるのも頷けますよね。

キャッツアイをカボッションにカットするとき、石の厚みが厚いほどシャトヤンシー効果がはっきり現れます。しかしもともとアレキサンドライトは大粒の石が産出されにくく、3カラット以上の大きさは滅多にお目にかかれません。その上くっきりと猫目が出るアレキサンドライトキャッツアイなんてほとんど皆無

もしあれば1級品のダイヤモンドよりも高価な値段がつくでしょう。まさにキャッツアイの王様です。

なぜ日本でキャッツアイブームが起きたのか?

現在の日本人の中で、大統領夫人となった人物はたった一人だけ。そう、あのデヴィ夫人です。彼女が初代インドネシア大統領、スカルノ氏と結婚したときは日本中が驚きました。

そのシンデレラストーリーの立役者が当時「昭和のフィクサー」と呼ばれた児玉誉士夫と、後に首相になった人物、池田勇人でした。特にデヴィ夫人は池田氏とは家族ぐるみのおつきあい。

デヴィ夫人は宝石は「女の勲章」と発言するほどの宝石好き。特にダイヤモンドとエメラルドは大好きです。そして池田氏は戦後、皇室の財産管理人として指名され、金塊、プラチナ・ダイヤモンドなどの財産の処遇を担当しています。二人は「宝石=財産」という価値を十分に知っていたのでしょう。

日本ではあまり馴染みのなかったこのキャッツアイを、当時の総理大臣が1千万円という値段を出して購入したのですから国民の間で大ブームが起こっても不思議ではないでしょう。同じ時期に大粒の宝石を身につけたデヴィ夫人の写真がマスコミで連日報道。日本中の女性の目が「宝石」に釘付けになったのも頷けますよね。

最後に

 

いかがですか。戦後の日本で初めて宝石ブームを巻き起こしたのは、このクリソベリルキャッツアイだったのかも知れません。キャッツアイは、19世紀末イギリスのヴィクトリア女王の3男、コノート公爵が婚約指輪に選んだことでも有名です。

また主な産地であるスリランカでは、キャッツアイは「悪魔から身を守る」石として尊重されています。

地味に凄いキャッツアイ。

もっと詳しく知りたい方は、
『まるで猫の目 キャッツアイの中に輝く一筋の光』の記事も参考にしてくださいね。

カラッツ編集部 監修