深いグリーンに赤い血がにじむような模様が浮かぶ宝石、ブラッドストーン。
キリスト教では聖なる石として扱われたり、古くは止血剤として使われていたこともあるといわれ、宝飾品というよりもお守りや薬品のような扱いをされてきた宝石です。
3月の誕生石の一つにも選ばれているブラッドストーン。
今回はそんなブラッドストーンの魅力に迫るべく、色んな角度からのお話を伝えていければと思います。
ブラッドストーンとは?
冒頭でお伝えしたとおり、ブラッドストーンはグリーンの地色に血液のような赤い模様が特徴的な宝石です。
赤い斑点が目玉のように見える種類もありますね。
神秘的な見た目から、パワーストーンやヒーリングストーンとしても人気がありますよね。
それでは順番に、ブラッドストーンの詳細を見ていきましょう。
鉱物としての基本情報
英名 | bloodstone |
和名 | 血石(けっせき) |
成分 | SiO2 |
結晶系 | 六方晶系 |
モース硬度 | 7 |
比重 | 2.58 – 2.98 |
屈折率 | 1.53 |
特徴
ブラッドストーンは石英の細かい結晶が網の目状に集まって固まった、カルセドニー(和名:玉髄(ぎょくずい))の一種です。
さらに細かくいうと、カルセドニーの中で不透明なものはジャスパー(jasper/碧玉)と呼び分けられることから、ブラッドストーンもジャスパーに分類されます。
つまり、不透明な深いグリーンの地色をもつジャスパーに血液のようなレッドの斑点が浮かんだものがブラッドストーンと呼ばれるということですね。
ブラッドストーンのグリーンカラーはクローライト(Chlorite/緑泥石)から、血液のように見える赤い斑点はヘマタイト(hematite/酸化鉄)から起因すると考えられています。
ちなみに、レッドの斑点のない、グリーンのみのものは、グリーンのジャスパーとして扱われ、宝石名は「プラズマ(plasma/濃緑玉髄)」と呼ばれるそうです。
産地
インド、ロシア、スコットランド、オーストリア、シベリア、日本など。
原石の形
ブラッドストーンは前述したとおり、 ジャスパーの一種、“細かい結晶が集まって出来た” 石英の徴結晶集合体です。
このような結晶を潜晶質 (せんしょうしつ) といい、水晶などのように1つの大きな結晶の形で産出されるのではなく、多くが塊状で産出されるといわれています。
名前の意味
止血効果があると信じられていたことから、ブラッドストーンと呼ばれるようになったといわれています。
またヘリオトロープと呼ばれることもあるそうなのですが、それはかつてエジプトのヘリオポリスで良質なものが産出されたことや、ギリシャ語で “太陽(ヘリオス)が向く(トロポス)” から由来しているといわれています。
ブラッドストーンの歴史
ブラッドストーンは古くから神秘的な石として、色々な地で色々な逸話をもち、それぞれ神聖な石として崇められてきた歴史があります。
例えば、古代バビロニアでは敵を撃退するお守りとして扱われたブラッドストーン。
ギリシャ神話では、ヘリオトロープの植物でブラッドストーンを包んで体を擦ると、敵から見えなくなると信じられていたそうです。
さらにキリスト教では、処刑されたキリストの血が十字架の下にあったジャスパーにしみ込んで、赤い斑点が出来たと言い伝えられたことで、「聖なる石」と崇められるようになったといいます。
キリスト教会の聖像を飾る石としてや、悪魔を呼び出す石として用いられたこともあるといわれているそうです。
また、血のように見える斑点が影響して「血液に関する治療」に使われる石としても知られています。
古い時代には太陽にこの石を向けその光を浴びると、石を持つ者の止血をする効果があるとか、エジプト人には粉末にして止血剤として使われていたなど、宝飾品としてよりも薬やお守りとして扱われることが多かったようですね。
インドでは現在でも石薬として使用されているそうです。
誕生石としてのブラッドストーン
冒頭でもふれたように、ブラッドストーンは3月の誕生石の一つです。
石言葉は、勇気・献身・勇敢。
3月の誕生石には他に、アクアマリン、珊瑚(コーラル)がありますね。
ブラッドストーンの種類
ブラッドストーンには、色や模様の違いで別の宝石として扱われるものもあります。
いくつかご紹介しますね!
アイ・ストーン
赤い斑点が目玉のようになっているものは「アイ・ストーン」(天眼石)と呼ばれます。
ブラッドストーンの中にもそのように見えるものがあり、中でも一つの目玉に見えるものは「サイクロプス・ストーン」と呼ばれるとか。
アイストーンは魔除けの力があると考えられ、古代には貴重に扱われていたといわれています。
ファンシー・ブラッドストーン
一般的なブラッドストーンは地色がグリーンで斑点模様がレッドですが、色が異なるものが産出される場合もあるそうです。
例えば、地色が全体的にレッドやイエロー系であったり、イエローやオレンジ、ホワイトの斑点が見られるものなどです。
このようなブラッドストーンは、ファンシー・ブラッドストーン(Fancy bloodstone)と呼ばれるそうです。
最後に
石に血が滴ったような特徴的な斑点のある宝石、ブラッドストーン。
モース硬度も7ありますので、ネックレスなどのジュエリーにもオススメです。
深いグリーンがシックな印象をもたらすことから、落ち着いた装いにも似合う宝石ではないかと思います。
アクセントに加えてみたら、いつもの装いも少し違って見えるかもしれませんよ!?
カラッツ編集部 監修