海水浴や花火大会、キャンプなど、真夏の楽しいイベントがいっぱいの8月。
海も空もまぶしく輝く8月の誕生石は、ペリドット、サードオニキス、スピネルです。
オリーブグリーンのペリドット、縞模様のサードオニキス、カラフルなスピネル、それぞれ個性的で異なる魅力を放つ宝石たちですね!
今回はそんな8月の誕生石についてのお話です。
▼8月以外の誕生石と誕生日石についてはこちらから
8月の誕生石は何がある?

従来、8月の誕生石といえばペリドットとサードオニキスの2つでした。
どちらも古くから広く親しまれている宝石です。
そんな8月の誕生石にスピネルが加わったのは2021年12月のこと。
全国宝石卸商協同組合が「統一された日本の誕生石」として64年ぶりに改訂することを発表し、8月の誕生石は3つになりました。
誕生石が3つあると、選ぶ楽しさやシーンごとに付け替える喜びを感じられて良いですよね!
では、8月の誕生石それぞれについて、少し掘り下げてご紹介していきましょう。
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▼8月の誕生石と誕生日石の一覧はこちら
8月の誕生石 ペリドット

8月の誕生石といえばペリドット、ペリドットといえば8月の誕生石。
そんなイメージをお持ちの方も多いことでしょう。
和名は橄欖石(かんらんせき)。橄欖とはオリーブに似た植物のことですが、オリーブ色の宝石ということで、名付けられたと考えられています。
独特なグリーンが印象的なペリドット。どんな特徴や歴史をもつのでしょうか。
▼ペリドットについての詳しい記事はこちらから
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特徴
ペリドットの特徴としてまず挙げられるのは、色。主にグリーンですが、イエローグリーンからブラウン掛かったグリーンまで色幅があります。
生成途中で混じる微量の鉄とマグネシウムが作用して、あの味わい深いグリーンを作り出しているのだそうですよ。
ペリドットは複屈折量が大きく、ダブリングが見られるという特徴もあります。
ダブリングとは下に置いた文字やファセット稜線が二重に見えるという現象で、複屈折が大きいほど見え方が顕著になります。
ペリドットは地球の奥深くにあるマントルの中で作られ、火山の噴火とともに地表近くに運ばれると考えられています。
ペリドットで覆われたビーチとして知られる、ハワイのグリーンサンドビーチは、火山の働きで溶岩が流れ出し、その中に含まれているペリドットが自然に集まってできた場所なのだそうですよ!
またペリドットは、地球だけでなく宇宙にも存在し、隕石に含まれて地球にやって来るものもあります。
それらはパラサイトペリドット(パラサイティックペリドット)と呼ばれ、コレクターを中心に近年特に注目を浴びている宝石の一つです。

特徴的なインクルージョンを含むことから、光を当てると幻想的に輝き、地球起源のペリドットとはまた異なる魅力を放ちます。
▼パライトペリドットについて詳しい記事はこちら
歴史・言い伝え
ペリドットの歴史は、古代エジプトまでさかのぼります。
紅海に浮かぶトパジオス島、現在のザバルガット島:Zabargad Island(英名:セントジョンズ島)で採掘が始まったといわれています。
そこは蛇がとても多い島で、鉱山労働者は命の危険と隣り合わせの過酷な環境で採掘していたのだとか。
ザバルガット島で採れた高品質のペリドットの幾つかは、アメリカのスミソニアン博物館やロンドンの自然史博物館などで見ることができますよ。
古代エジプト人はペリドットを「太陽の宝石」と呼んでいたと伝わり、ファラオや貴族が身につける装飾品、聖杯や教会の装飾、魔除けなどとして使われていたようです。
また、ペリドットは歴史上トパーズやエメラルドと混同されることがあります。
と言いますのも、トパーズの名前の由来は、先程ご紹介した、ペリドットの採掘が始まったとされるトパジオス島からという説もあるのですが、実は当時トパーズと呼ばれていた石はペリドットであったのではないか、ともいわれているのです。
また、クレオパトラのエメラルドコレクションの多くが実はペリドットであったという話もよく耳にする逸話です。
価値
ペリドットは、イエロー味やブラウン味が少なく、鮮やかで純粋なグリーンに近いもの程、価値が高いとされます。
ただし、あまりに色が濃すぎたり、透明度が低いものは価値が下がってしまうのだそうです。難しいところですね。
それに加え、カットの美しさ、カラットの大きさも評価の対象となります。
大粒のペリドットは希少なことから、クォリティが高い、5ct以上のものは価格が跳ね上がるそうですよ。
ミャンマー産やパキスタン産に最高級カラーが多いとされ、価値が上がる傾向にあります。
また、隕石に含まれるパラサイトペリドット(パラサイティックペリドット)は、地球起源のペリドットよりも希少性が高い上に、性質上カットが難しいともいわれています。
そのため、クォリティが高くサイズも大きいものは、高額に取引されることも多いです。
▼ペリドットの価値についてより詳しく知りたい方はこちら
石言葉
ペリドットの石言葉は「夫婦愛」「豊穣」「幸せ」など。
「夫婦愛」となった理由は、ペリドットがエジプトからローマへ渡り、王と王妃の愛情を結びつけたという言い伝えからきているのだそう。
ペリドットのグリーンは青麦の豊かな実りを連想させますね。まさに「豊穣」という石言葉がピッタリだと思います。
夫婦の愛情も豊かな実りも、「幸せ」の象徴といえるでしょう。
ペリドットの石言葉はどれもハッピーで、結婚のプレゼントや恋愛のお守りにも良さそうですね!
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8月の誕生石 スピネル

8月誕生石のニューフェイス、スピネル。
和名は「尖晶石(せんしょうせき)」。結晶が8面体で先が尖っていることが由来です。
スピネルは古くから採掘されていた宝石なのですが、昔はルビーやサファイアと間違えられることも多かったといいます。
日本の8月の誕生石に正式に選定されたことで注目を浴びているスピネル。元々コレクター人気の高い宝石ですので、注目度が上がったことで、需要も増えることが予想されます。
そんなスピネルの特徴や歴史、石言葉についても見てみましょう。
▼スピネルについての詳しい記事はこちらから
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特徴
スピネルの特徴としてまずお伝えしたいのは、色相の幅広さ。カラーバリエーションが豊富なところです。
鮮やかな赤色やピンク、オレンジ、バイオレット、ライラック、青、グレー、黒など。
生成途中で混入する微量のクロム、鉄、コバルトなどが作用して様々に発色すると考えられています。
とてもカラフルな宝石スピネルですが、天然のイエローは今のところ見つかっていないようです。
合成スピネルの中にはイエローもイエロー味の強いグリーンもあるそうですので、もし天然石として販売されている場合は少し疑ってみた方が良いかもしれません。
スピネルは結晶の形も特徴的。三角錐が二つ合わさったような、正八面体の形で産出されることが多いといわれています。

正八面体結晶はダイヤモンド原石にも多く見られる形で、コレクター人気が高い形という印象があります。
歴史・言い伝え
前述したように、スピネルはかつてルビーやサファイアと間違われることの多かった宝石です。
王冠やジュエリーにルビーとしてはめ込まれていたものが、実はスピネルだった・・・そんなエピソードがいくつも残っています。
中でも有名なものは、イギリス王室がもつ「黒太子のルビー」(The Black Prince’s Ruby)や「ティムールルビー」(The Timur Ruby)などではないでしょうか。
スピネルがルビーやサファイアなどのコランダムとは違う鉱物だということが判明したのは1783年のこと。
鉱物学者ジャン·バティスト·ルイ·ローマ·デ·ライルによって明らかにされたといわれています。
価値
スピネルの価値は、色、透明度、大きさ、カットなどで決まります。
中でも重要度が高いのが色で、最も価値がある色合いは、赤。次にコバルト色の強い青だといわれています。
鮮やかである程良く、高品質のルビーやブルーサファイアを彷彿させるような色合いにより高い価値が認められます。
ホットピンクや鮮やかなオレンジ色もその次に価値が高い色合いです。
スピネルは5ct以上になると価値が上がり、特に人気の赤、青、ホットピンクなどは大きく価格が跳ね上がることも多いようです。
とはいえ、どんなに美しいスピネルでも品質が同等のルビーやブルーサファイアに比べれば、手頃に手に入れることが可能です。
例えば、最高品質の5ctのレッドスピネルは、クォリティやサイズなどが近いルビーの約10分の1程度の価格になることも多いのだそうですよ。
石言葉
スピネルの石言葉は「内面の充実と安全」「豊かな愛」です。
確かにスピネルがもつカラフルな輝きは「豊かな愛」を表しているようにも感じられますね!
さまざまな色合いのスピネルを身につけることで、豊かな愛情が芽生えたら素敵だと思います!
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8月の誕生石 サードオニキス

8月の誕生石の中で最も古い歴史をもっているのがサードオニキスです。
自然の風景を切り取ったかのような縞模様が魅力的で、アンティークジュエリーなどでもよく見かける宝石です。
サードオニキスの縞模様は自然に形成されたもの。色や入り方など一つ一つ異なります。
和名は「紅縞瑪瑙(べにしまめのう)」。紅くて縞のあるメノウということですね。
「サードニクス」「サードニックス」「サードオニックス」などと呼ばれることもあります。
▼サードオニキスについての詳しい記事はこちらから
特徴
サードオニキスはカルセドニーの一種です。
カルセドニーとは、微細なクォーツ(石英)が集まって固まってできた鉱物、多結晶質(潜晶質)のクォーツのことです。
カルセドニーとして出回るものもありますが、特別な名前が付いているものも多く、サードオニキスもその一つ。
クリソプレーズ、カーネリアン、モスアゲートなどもカルセドニーの一種です。
カルセドニーの中には、サードとオニキスという名前の宝石もあります。
宝石学上、
サードは、地色が褐色~赤褐色のカルセドニー
オニキスは、白い縞模様が入っているカルセドニー
サードオニキスは、縞模様があるサード
ということになります。
ただし、市場で「オニキス」というと、真っ黒または黒地に白い縞模様が入ったカルセドニーを指すことが多いです。
歴史・言い伝え
サードオニキスは、旧約聖書に登場する大司祭の胸当てに飾られた宝石の一つといわれており、古くから広く親しまれてきました。
ローマの兵士たちは、戦場に行く際のお守りとしてサードオニキスのリングを嵌めていたという言い伝えも残っているそうですよ。
サードオニキスは熱したワックスが付着しない性質があることからシグネットリング(印章リング)として使われることも多かったといいます。
シグネットリングとは、紋章やイニシャルなどを彫り、サイン代わりに押したり、封書などを溶かした蝋で封印する際などに使われたリングで、現代でもファッションジュエリーとして人気があります。
かつては王族・貴族のような、社会的地位のある男性が主に使っていたといわれています。
また、サードオニキスは、サードやカーネリアンなどとともに、カメオやインタリオの素材にも多く用いられました。
ちなみに、カメオは浮彫り、インタリオは沈み彫りのことを言い、いずれも、サードオニキスの層状の模様を活かして彫刻され、古代ローマなどで人気を博したと伝わります。
今でもアンティークジュエリーなどで多く見ることができますね。
価値
サードオニキスは、美しい縞模様が出ているものに価値が認められる傾向にあります。
半透明で鮮やかなオレンジや赤褐色の地色と真白な縞模様。そのコントラストの美しさも評価のポイントです。
サードオニキスは、品質によってはお手頃に購入できる宝石の一つです。
ビーズ状で安価に流通しているものも多く見かける気がします。
天眼石のような、丸い目のような模様をもつものも神秘的で人気があるようです。
カルセドニーは染色しやすいという性質上、全般的に染色処理が施されているものが多く、サードオニキスも例外ではありません。
全般的に行われていることもあり、それによって価値が著しく下がるということはありません。
▼カルセドニーの施される染色処理については、下記取材記事を参考に☆
石言葉
サードオニキスの石言葉は「夫婦の幸福」「結婚運」です。
サードオニキスは、勇気や幸運を意味し、安定した結婚や人間関係の構築に力をもたらすと言い伝わる宝石です。
石言葉もそんな言い伝えから生まれたのかもしれませんね!
個人的には、赤褐色と白のコントラストが良いところを引き立て合っている仲の良い夫婦を連想してしまいます。
結婚のお祝いや、素敵なパートナーと巡り合うためのお守りとしてプレゼントするのも良いではないでしょうか。
最後に

8月の誕生石、ペリドット、スピネル、サードオニキスについてまとめてみました。
それぞれ個性があって魅力的な8月の誕生石。
スピネルが加わったことで、一気にバラエティ豊かになり、華やいだようにも感じますね。
また、どれも「愛」や「幸福」に関連した石言葉をもつことも分かりました。意外な共通点でしたね。
8月生まれの方もそうでない方も、8月の誕生石と一緒にぜひ素敵な夏の思い出を増やしていって下さいね!
カラッツ編集部 監修