ロシアのダイヤモンド採掘企業、アルロサ社が採掘したもので、まるでロシアの伝統人形「マトリョーシカ」みたいだと話題になっています。
私もこのニュースを聞きとても興味をもったため、色々調べてみました。
世界のダイヤモンド採掘史上でも初めてといわれる、神秘的なダイヤモンドは、一体どのようなものなのでしょう。早速ご紹介していきますね。
ロシア最大のダイヤモンド企業「アルロサ」が発見
ダイヤモンドの中にダイヤモンドが入った原石の発見が発表されたのは、2019年10月4日のことでした。
この原石は、ロシアのサハ共和国西部の都市ニュルバにある、アルロサ社の鉱山で産出されたといいます。
アルロサ社はロシアのダイヤモンド採掘企業で、ロシア連邦政府とサハ共和国政府などと共同株式を保有。ダイヤモンドの採掘量はロシア全体の99%を保持するという、ロシア最大のダイヤモンド企業です。
科学者の鑑定によると、このダイヤモンド原石の最大寸法は4.8㎜×4.9㎜×2.8㎜で、重量は0.62カラット。原石の中には6立方ミリメートルの空洞があり、その中にもう一つのダイヤモンドが入り込んでいるそうです。
空洞に入り込んだダイヤモンド原石は、1.9㎜×2.1㎜×0.6㎜の大きさ。1.6立方ミリメートルなので、推定0.02カラットだといわれています。
科学者の研究結果による、空洞ができる仮説とは?
この不思議な原石が見つかったのは、ヤクーツク(サハ共和国)にあるダイヤモンド取引所がソーティングを行っている時だったそうです。
その後アルロサ社の地質学開発部門に手渡され、最新機器による科学的研究が行われました。
そして科学者たちが研究を重ねた結果、なぜこのような原石が出来たのかという仮説が定義されました。
それはまず、最初に中に入っている小さなダイヤモンドが生成し、続いてこの原石を取り囲むダイヤモンドが生成したという事です。
それでは、なぜ原石の内部に空洞ができたのでしょうか。科学者の研究の結果、これには2つの仮説が挙げられました。
ひとつはダイヤモンドが生成する際にマントルのミネラルが閉じ込められ、後に地球の表面上で溶けてしまったという説。
もうひとつは、ダイヤモンドが猛スピードで生成したため、内部でダイヤモンドの多孔質多結晶の層が生成し、さらに強烈なマントルの働きにより溶けてしまったのでは、という説です。
このいずれかの形でダイヤモンド原石の溶けた部分が空洞となり、内部のダイヤモンドがコロコロと動くようになった、ということです。
そしてその姿がまるで中から続々と姿を現すロシアの伝統的な人形「マトリョーシカ」と似ていることから、アルロサ社は「マトリョーシカ・ダイヤモンド」と呼んでいるとのことです。
ロシア人形「マトリョーシカ」みたいな原石
アルロサ社の地質学開発研究所が知る限り、このようなダイヤモンドは世界の採掘史上でも見られたことが無い、世界初の原石だといわれています。
ちなみにこの原石は、およそ8億年前に生成したものではないかと推測されています。
ダイヤモンドは、生成途中にガーネットなど他の結晶が入り込むことがあります。
別のダイヤモンドが入り込んだ結晶も見つかったことはあり、内包物として確認することができます。
しかし今回のダイヤモンドが珍しい理由は、内部に空洞があり、その中でもう一つのダイヤモンドがコロコロと動いているということです。
カットせずに原石のままでその魅力が楽しめる、まさに地球からの贈り物のようですよね。
最後に
写真で見る限り、このダイヤモンドは無色に近く透明感も高いようで、光を当てるとはっきりと内部のダイヤモンドが見えます。
原石のままとはいえ、氷の中にキャンディーが入ったような、とても美しい色と輝きをしているように思います。
自然が創造した美しさには、何者もかなわない、大きな魅力があることを知らされたような気がします。
カラッツ編集部 監修