「青いガーネット」と聞いて、「シャーロックホームズ!」と思い浮かぶ人は探偵の素質があるかも知れません(笑)。
というのは冗談ですが、イギリスの小説家、アーサーコナンドイルが生み出した主人公、シャーロックホームズ。彼が活躍する小説に、「青いガーネット」という短編小説がありますよね。
しかし宝石屋としていわせてもらいますが、天然ガーネットに「ブルー」の色はありません。
と、思っていましたが、例外がありました。
それが変色効果をもつ、「ベキリーブルーガーネット」です!
しかしこのベキリーブルーガーネット、発見されたのは1990年代後半です。
「青いガーネット」という短編小説が執筆されたのは1892年ですから、約100年前に、アーサーコナンドイルは青いガーネットの存在を予感していたのでしょうか?謎です。。。
ガーネットは知れば知るほど興味深い宝石です。今回は、ガーネットの中でも特に面白い、ベキリーブルーガーネットをご紹介しましょう。
そもそもガーネットにたくさんの色があるのはなぜ?
ガーネットといえば「赤」と思うのは間違い。
実は青色以外はほとんどの色があるのです。
ではなぜガーネットにはたくさんの色が存在するのでしょうか?
ガーネットは主にカルシウム、マグネシウム、珪素、アルミニウム、鉄などからできている等軸晶系の鉱物のグループです。
含まれる成分の違いなどにより色や特徴が変わると考えられており、アルマンディン、ロードライト、パイロープ、スペサルティン、グロッシュラー、ヘソナイト、アンドラダイト、デマントイドなど多くの種類が存在し、色も様々です。
ちなみに青い色を生む元素は、一般的に「銅」「チタン」「コバルト」などといわれています。
人工で作られた青いガーネットは、無色の結晶になる希土類ガーネット「ガドリニウム・ガリウム・ガーネット」に、コバルトを加えて作られているそうです。
ベキリーブルーガーネットの特徴
1990年代後半にマダガスカル南部のベキリー鉱山で発見されたベキリーブルーガーネット。
まるでアレキサンドライトのように青い色から赤い色に変色するために、「アレキサンドライト・ガーネット」や、「カラーチェンジ・ガーネット」とも呼ばれています。
太陽光や蛍光灯の下ではブルーグリーンに、白熱灯の下では赤や紫色に変化しますが、その理由は、微量に含まれているバナジウムの影響だと考えられています。
もともとガーネットはすっぴんの宝石、といわれるぐらい加工処理をしなくても美しいものが多いといわれています。つまり発見当時から宝石としての形状、輝きをもっている鉱物。
ベキリー鉱山で採れるベキリーブルーガーネットも、脆い岩盤の亀裂の間にキラキラと輝くブルーの結晶が発見されたりもするそうです。
ただ、大きさは1ct以下がメインで、大粒のベキリーブルーガーネットが産出されることは少なく、そのためマニアの間では価値高く扱われているそうです。
現在、ベキリー鉱山は既に閉山されたという噂もあるそうですが、カラーチェンジするブルー系のガーネットは別の産地からも見つかっているといいます。
ガーネットは産地鑑別できない宝石であるため、現在「ベキリーブルーガーネット」として市場に出回っているものが全てベキリー産のものかどうかは分からないそうです。
その他の珍しいガーネット
2005年、奈良県の山中から虹色に輝く「レインボーガーネット」が発見されています。
このレインボーガーネット、奈良県以外ではメキシコでも産出されたことがあるそうです。
ガーネットは主成分、色などによって20種類以上あるといわれ、その中には日本の学者の名前が付けられたガーネットもあります。
それは「森本柘榴石」と「加藤柘榴石」。
柘榴石、とは、ガーネットの和名です。
1995年、岡山県で発見された新鉱物が、エックス線結晶学を研究していた地球科学者の森本信男氏にちなんで「森本柘榴石」と命名されました。
そして1985年にイタリアで発見された新鉱物が、同じく地球科学者の加藤昭氏にちなんで「加藤柘榴石」と命名されています。
最後に
2018年10月、待望の宝石コミック「七ツ屋志のぶの宝石匣」の8巻が発売されました。その中に、ちょうどガーネットの話も出てきます。
さて、そのガーネットの色は何色でしょうか?それはこの漫画を実際に読んで確認してくださいね☆
カラッツ編集部 監修