2018年、宝石業界を興奮の渦に巻き込んだ「さくらインカット」
どこで買えるの?
どれくらい待つの?
知りたいでしょう!皆さん!
わかります。わかります。ワタクシもモチロンその一人。
ですから行ってきました。山梨まで。甲府の、さくらインカットの生みの親、神の手を持つ研磨職人が揃う、シミズ貴石さんに!
皆さんの知りたいこと、全部聞いてきましたよ。
それではご覧ください!
目次
どこで買えるの?
甲府駅からタクシーで10数分。
シミズ貴石さんで働く職人さんは全部で6人。
「さくらインカットは1日にせいぜい10~20個くらい作るのが限界です。」
そう教えてくださったのは、職人歴5年でありながら、シミズ貴石の若きホープ大城さん。
『磨き』をさせたら名人の清水幸雄社長よりもスゴイ!というお墨付きの職人さんです。
ちなみに大城さんの名前はかん奈さん。名前からして、削るのが上手そうですね!
「展示会(IJTや各地のミネラルショーなど)やwebでの抽選販売が中心ですが、自社サイトからオーダーも受け付けています。」
なるほど!
* 公式サイトはコチラ→
http://www.s-kiseki.co.jp/index.html
* 最新情報はコチラをチェック→
https://twitter.com/shimizu_kiseki
https://www.facebook.com/shimizukisekikk/
*ちなみにカラッツSTOREでもルース、ジュエリー、セミオーダーの取り扱いがあります*
値段と発注方法は?
さくらインカット、お値段は石の種類によって変わります!
例えば、クォーツの6mmであれば4,200円、アメジストの12mmであれば8,600円です。
詳細はシミズ貴石さんの公式サイトにてご確認下さいね!
ペンダントにする場合、シルバーであれば+1万円で加工も可能!
これはぜひお願いしたいですね。
Silver925で作る場合に限り、チェーン(Silver925製、40cm+5cmアジャスターチェーン付)をサービスでお付けいただけるそうです!
K18やPt900など、他の金種でも加工可能とのことなので、お見積り希望の方は直接お問い合わせ下さい。
ただし、Silver以外の金種の場合は「ペンダントトップのみ」の販売で、チェーンは付属されないそうなのでご注意くださいね。
また、リングやピアス、イヤリングへの加工も受けて頂けるようです。ご興味がある方は公式サイトにてご確認下さい。
* 画像と内容はシミズ貴石公式サイトより一部引用させて頂きました。
注文はメールで!
そしてココが大事!
『ご注文は全てメールで承っております。』
そうです!ココが大事。
なぜならこの個別注文は我らが若きホープの大城かん奈さんが窓口。
電話をしたり直接会社に行ったりすると、お仕事の妨げとなります!
はやる気持ちはわかりますが、
ご注文、ご質問は
全てメール info@s-kiseki.co.jp
でお願いしますね!
メールに
①ご希望の商品 (ルース or ペンダント or リング or ピアス(イヤリング)のご希望、カット名、石の種類、サイズ、個数) ※リングの場合は号数も記載 ②お名前 ③お送り先の郵便番号、ご住所 ④お電話番号 ⑤お支払い方法(加工前の銀行振込みもしくは 代金引換便) |
をご記入の上、ご発注下さい。皆様、どうぞ宜しくお願いします♪
納期の目安は約4~5ヶ月です
ちなみに、こちらのさくらインカット、注文してから発送するまでの納期は、今ですとだいたい4~5ヶ月程度はみて欲しいそうです。
マジかよ。。。と思った方。
それはアナタ、まだこの石の凄さをわかっていません!
納得できない方のために、
「さくらインカットができるまで」
を写真で撮ってきました。
スゴイです!ぜひご覧ください!
原石から仕上げまで全て手作業
作り方を教えてくれたのは、引き続き大城かん奈さん。
まず通されたのが原石が置いてある部屋。
部屋いっぱいに所狭しと置かれた原石たち。床にも壁にも石、石、石。
まさにゴロゴロ、としか言いようのない光景が。
床に置いてあった水晶が気になったため、山梨県産か伺ってみたところ
残念ながら違うとのこと。
今シミズ貴石さんで取り扱いのある原石は8~9割がブラジル、アフリカ、中国など、海外だそうで、国産のものは1~2割とのこと。
でも一つだけ国産の石を見せてもらいました。何の石か分かりますか?
正解は、ロードクロサイトだそうです。北海道で採れた貴重な子を見せていただきました。
「カットの手順としては、まず原石から色を選んで傷を取り、カットします。これを『形取り』といいます。」
小さくカットされた原石。箱の中身は宝の山です。
ちなみにこれを研磨すると
こんな感じになるそうです。
部屋の中には、種類ごとに分けられた原石がケースに入れられて積まれています。
本当に沢山の種類の石があるなか、気になったので、カットしやすい石やしにくい石があるか聞いてみました。
「そうですね……。強いていれば、メノウは粘っこいですね。」
「メノウも水晶と同じクォーツなんですが、靭性(じんせい)が高いので、なんというか削りにくさを感じますね。あと、ラリマーは石が壊れやすいので気を遣います。」
一つ一つ丁寧かつ熱心に教えてくれた大城さん。
実際に扱っている人にしか分からないお話、とても勉強になりました。
いざ!さくらインカットの制作現場へ!
石を削ってカットをつけることを「ファセットを付ける」と言うそうですが、シミズ貴石さんはそのカットの専門会社。
このように原石からカットした宝石を作る会社は、日本に数社しかないそうです。
「今度は石を削るところをご紹介しますね。」
と言われて連れて行かれた隣の部屋には、見慣れない機械がズラリ。そして黙々と仕事をする職人さん達の姿が……。
ここであの美しいさくらインカットや甲州貴石切子が生み出されているんですね!
さくらインカットができるまで!
さくらインカットを出荷するまでにはカットからでも
「荒削り➾テーブル面の研磨➾ガードリング➾接着➾粗削り➾仕上げ磨(ず)り➾磨き➾テーブル面の磨き➾検品」
という作業が必要になります。
カットに入る前に、先程お伝えしたような原石の形取りをする工程なども入りますが、今回はカット以降の工程について詳しくご紹介したいと思います。
今回削って頂いたのは、ロードライトガーネット。
大小二つのさくらインカットを作って頂きました。
荒削り
まず最初に、グラインダーという機械を使って、荒く削っていきます。
色ムラやキズをチェックしながら表面にする部分を決め、全体的に大きく形作ります。
テーブル面の研磨
ファセットカットに入る前に、テーブルとなる面を整えておきます。
240番の研削材(カーボランダム)を使って平らに整えた後、より細かい1000番の研削材で更に細かく整えます。
この時、石の中にキズやインクルージョンが残っていないか最終チェックをします。
ガードリング
ガードリングマシーンという機械で形状とサイズを正確に削り出します。
担当されているのはこの道40年の職人さん。
ガードリング歴は30年以上。しかし毎日が勉強とのこと。奥が深い……。
接着
パビリオン側を上にして、ドップという棒に宝石を接着します。
粗削り(パビリオン側)
石を付けたドップをファセッターに装着し
まずは粗くファセットを付けていきます。
仕上げ磨(ず)り(パビリオン側)
次に、仕上げ磨りをします。
このタイミングでさくらの形を入れていきます。
ある程度は機械で調整しますが、大部分は目測と感覚で作業しているといいます。
まさに職人ワザ!!
ほんのり現れたさくらの形がご覧頂けるでしょうか?
磨き(パビリオン側)
次が磨きの工程です。
この工程によって、宝石に輝きが生まれ
美しいさくらの姿がハッキリと見えるようになりました!
貼り返し
パビリオン側の研磨が終わったら、
一度ドップから石を外し、今度はクラウン側が上になるよう貼りかえます。
仕上げ磨り&磨き(クラウン側)
クラウン側にも仕上げ磨りと
磨きを施します。
テーブル面の磨き
最後に、ドップから石を外し、最初に整えておいたテーブル面を磨いたら
見事なロードライトガーネットのさくらインカットが完成です!
ちなみにこの作業工程、失敗する確率はどれくらいか聞いたら
ほぼ0
とのこと。シミズ貴石さんの職人さんは全て「神の手」をお持ちのようです。
検品
さくらインカットのデザインを考案した植松さんいわく、
サクラの花びら部分は、職人によって個性が出るのだといいます。
花びらをふっくらとカットする人も居れば、シャープにカットする人も居たりして、それぞれの特徴が出て全て同じという訳にはならないそうです。
最後の仕上げは植松さんが1点1点20倍のルーペで見て確認しています。
まさに「世界に1つだけの花」なんですね!
最後に
いかがだったでしょうか、シミズ貴石さくらインカットができるまで。
1日に作れるさくらインカットのルースは10~20個くらい。
その理由がお分かり頂けたでしょうか。
今の御時世、全てハンドメイドで
30年やっていても、「毎日が勉強」ってなかなか言えない言葉ではないか、と思います。
これぞ、職人の心意気ってものなのかもしれませんね。
シミズ貴石の職人さんたちの凄さとさくらインカットの魅力が少しでも多くの方に伝われば嬉しいです。
同じ日に清水幸雄社長に、コレぞ神業!という手摺りの実演も見せていただきました。
そちらについては別の記事で紹介していますので、宜しければ併せてお読み下さい。
カラッツ編集部 監修