身近なアレにも使われている?意外に多い工業用ダイヤモンド活用法
ダイヤモンド、と聞くと、「高級な宝石」「ジュエリーの王様」というイメージがありますよね。多くの方は指輪やネックレスなどのジュエリーを思い浮かべるのでは?
確かにダイヤモンドはキングオブジュエリー。
他の宝石の追随を許さないまばゆい輝きを放つのがダイヤモンドですよね。
その輝きの理由とは、ダイヤモンドが世界で一番硬い鉱物だから。
しかし、ダイヤモンドの特徴は美しさだけではありません。ダイヤモンドは硬度が高く、耐摩耗性に優れている、電気絶縁体であり熱伝導性にも優れているという特徴があります。
そのため、ダイヤモンドは宝石用だけでなく、近代工業のあらゆる分野で耐摩耗性の優れた工具として使われているのです。
もしかして、あなたが今使っている「アレ」にもダイヤモンドが使われているかも?
今回は、意外に多い、身近にあるダイヤモンドの活用法について調べてみました。
ダイヤモンドの8割は工業用ダイヤモンド
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工業用ダイヤモンドとは、宝飾品以外の目的で使用されるダイヤモンドのこと。
ダイヤモンドは、鉱山から採掘されても8割以上が工業用に回されるって知っていましたか?
ダイヤモンド=キレイ。と思うのは早計です。
せっかく採掘されても、黒く内包物が多かったり、色が悪くて宝石に適さないものがほとんどなのです。
そしてそのようなあまりキレイでないものは、工業用ダイヤモンドに回されるという訳です。
どんなものに使われるの?
具体的に、工業用ダイヤモンドとは、何に使われるのでしょうか?
工業用ダイヤモンドの主な用途のうち、おそらくどこの家庭にもあるのが「万能包丁研ぎ」でしょう。専門用語で「研削砥石」と言います。
包丁を研ぐ砥石の多くは、表面に極細のダイヤモンドが埋め込まれており、これで包丁やハサミの刃を研ぐとピカピカ、ツルツルになるのです。
このように研磨として使うことの多いのが工業用ダイヤモンド。
なんといっても「世界一硬い」という特徴を生かし、ダイヤモンドを微粉末にした研磨剤は、金属材料、磁器、ガラス、半導体、コンクリートなど、どんなものでも切断、研磨します。
他にも身近にある主な使い方をご紹介しましょう。
レコード針
ルビー、サファイアなど、硬度が高い宝石を使うこともありますが、たいていのレコード針にはダイヤモンドが用いられています。
1説によれば、ダイヤ針は1本で200時間まで使えるとか。さすがの耐久性ですね。
ダイヤモンドカッター
刃の先に工業用ダイヤモンドを入れることによって、刃の硬度を上げたものがダイヤモンドカッターです。
建築現場や工事現場などで利用されることが多く、ダイヤモンドの粒が混ざっていることによって、切りたいものを削り取る働きがあります。
人工衛星の外部観測用の窓
アメリカが1978年に近世に向けて飛ばした人工衛星「パイオニア」の窓には、工業用ダイヤモンドが使われていました。
その重さはなんと13.5カラット。まさに最高品質の窓ですね。ダイヤモンドは極度な高温にも耐えられ、かつ計測ができるだけの透明度を持つ唯一の素材。人工衛星の素材として最適だったのです。
採掘用のダイヤモンド・ヘッド
採掘用のダイヤモンド・ヘッドとは、大粒のダイヤモンドを鋼鉄製の土台に埋め込んだもの。
先端のシャフトを高速回転させながら穴を開けていきます。地下鉄の工事などで使われ、日本製の優秀な製品はユーロトンネルを作るときにも大活躍しました。
電球のフィラメント
電気製品や電球のフィラメントには、極細の金属線が使われています。これを作る工具にダイヤモンドが大活躍。
この金属線は、ダイヤモンドの結晶の中に、特定の角度で開けた穴を通して金属線を一定の細さに作っています。
この製造は1秒に40メートルという速さで作られるそうですよ。
LSIなどの放熱板
LSI(大規模集積回路)などの放熱板では、半導体の性質を持つ「Ⅱb型のダイヤモンド」(炭素の一部がホウ素、またはアルミニウムに置き換えられたもの)が使われます。
これは新しい半導体の材料として、今後も期待されている商品だとか。
最後に
いかがですか。台所にも、工事現場でも使われているダイヤモンド。
そうそう、忘れていましたが、コンタクトレンズの研磨にもダイヤモンドが使われているそうです。
まさに目の中のダイヤモンド。なんだかダイヤモンドが身近に感じられますよね。
カラッツ編集部 監修