月のようにやさしく輝くムーンストーンは6月の誕生石でもあり、とても人気がある石です。
ムーンストーンは類似石が多いのをご存知ですか?
私は海外でムーンストーンを買ったことがあるのですが、あとになって「ムーンストーンの類似石だったのでは?」と疑問が湧いてきました。
同じように、海外で勧められたことがあるという人も多いのではないでしょうか?
この機会に、ムーンストーンとブルームーンストーンのこと、そしてその類似石と見分け方についてお勉強しましょう!
目次
ムーンストーンの特徴は?
ぼんやりとした青白い月のような「シラー効果」と呼ばれる光を放つムーンストーン。
乳白色に輝く神秘的なムーンストーンは、インドでは「月の光が固まって宝石になった」と信じられていたことが名前の由来です。
長石グループに属し、鉱物種は「オーソクレーズ」、宝石名を「ムーンストーン」と言います。
実はこの「ムーンストーン」という名前は一種の商品名のように扱われることがあり、他の多くの宝石とは少し違うかもしれません。
石の地色は主にブルーやホワイト系が多いのですが、オレンジやイエローなどもあります。
またムーンストーンの中にはブルームーンストーンやレインボームーンストーンといった特別な名前をもつ種類のものもあります。
詳しくは後述しますね。
ムーンストーンの類似石
「オーソクレーズ」以外の鉱物種で、「ムーンストーン」と間違われやすい類似石が幾つかありますので、まずはそれらについてご紹介しましょう。
ラブラドライト
ムーンストーンと同じ長石グループに属しています。
青白い光を放ち、蝶の羽を思わせるような美しさが特徴。
光を当てると虹色の輝きを示す「ラブラドレッセンス」という性質をもっています。
前述した、「レインボームーンストーン」と呼ばれているものは、このラブラドライトの一種である「ホワイトラブラドライト」のことです。
雲のような光と色の動きを見せ、まるで虹のような輝きに見えることからそう呼ばれ、こちらは高く評価されています。
ペリステライト
白や半透明の地色に、ペリステリズムと呼ばれる青白い輝きが見られる美しい石です。
ムーンストーン、ラブラドライトと同じ、長石のグループに属しています。
ラブラドライトやペリステライトの価値
時々このラブラドライトやペリステライトが「ムーンストーン」として販売されていることがあります。
しかし、もともとは化学組織も違えば価値も全く違う別の石。
流通量の多いそれらの石の本当の価値は、本来のムーンストーンの1/50ほど。大きな違いです。
ブルームーンストーンについて
レインボームーンストーンともう一つ、特別な名前をもつムーンストーンが「ブルームーンストーン」です。
ブルームーンストーンは、ぼんやりと青白い光を放つムーンストーンのことで、「シラー」が青白いことが、一番の特徴です。
その中でも特に青い虹のような光を放つものは「ロイヤルブルームーンストーン」と呼ばれています。
かつてはスリランカで産出されていたといわれていますが、その鉱山は随分昔に閉山してしまい、採掘できなくなってしまったそうです。
そのため現在、本来のブルームーンストーンは、市場に流通することはほとんどないといわれています。
現在ブルームーンストーンと呼ばれる石は…
でも今でも市場には「ブルームーンストーン」と呼ばれる宝石が流通していますよね。
ではそれらは一体どんな石なのでしょうか?
それは先程説明したラブラドライトやペリステライトといった別の鉱物です。
本来のブルームーンストーンが採掘できなくなってしまった今、別の鉱物であっても条件さえ合えば「ブルームーンストーン」と呼ぶというのが宝石業界の通説になっているからです。
なんだか複雑な話になってきましたね。。
条件さえ合えばブルームーンストーンと呼べる
ではその条件とは。。
- クリアな地色であること
- 青いシラーを発すること
この二点です。
前述したように、本来のブルームーンストーンが採掘されなくなってしまった今、この二つの条件さえ合えば、ラブラドライトやペリステライトでも「ブルームーンストーン」と呼ぶ、ということが宝石業界の通説です。
なので、ラブラドライトやペリステライトが「ブルームーンストーン」として売られていても一概に偽物とはいえないということを覚えておくと良いでしょう。
ただし、これらの宝石を売る際、ただ「ブルームーンストーン」として販売するのではなく、「ラブラドライト」や「ペリステライト」であることをきちんと明記することがお店側には必要とされています。
本来のブルームーンストーンは現在市場には全く出回っていないといっても過言ではない状況ですので、単に「ブルームーンストーン」とだけ書いて売っているお店があったら、むやみに信用しない方が賢明かもしれません。
ムーンストーンと類似石の見分け方
では、これらの類似石とムーンストーンの見分け方はあるのでしょうか。
正直これらは見た目もムーンストーンと似ていることが多く、素人目には判別が困難です。
正しく判別するには、屈折率、比重、アデュラレッセンス(ムーンストーンから観察される特殊効果)の検査が必要となってくるため、鑑別に出すのがベストです。
しかしおおよその見分け方もありますので、参考までに少しご紹介しますね。
ラブラドライトの見分け方

ラブラドレッセンスと呼ばれる、美しい光学効果があることが特徴です。
青白いモヤの中に、黄や緑や赤が混ざって見えます。
内部に線状の内包物が多いことも特徴のひとつです。
ペリステライトの見分け方

こちらもムーンストーンのシラー効果に似た、ペリステリズムと呼ばれる光学効果をもちます。
しかしムーンストーンは内側から光っているように見えるのに対し、ペリステライトは外側から光って見えるそうです。
ただ、よく似ているものも多く、正直プロでも判別することは大変難しいので、最終的には鑑別機関できちんと調べてもらった方が良いでしょう。
最後に…
ムーンストーン、ブルームーンストーンの説明とその類似石の見分け方をご紹介しました。
今回の記事を書くにあたり色々調べた結果、私がアジアのとある島で買ったムーンストーンは、鑑別書も保証書もないので、類似石であった可能性が高いと思えてきました。
旅先では気が緩み、予定外のものを買ってしまいがちですが、きちんとした知識をつけて、疑わしい、紛らわしい鉱物については細かく確認することも大切なのかもしれませんね。
そして必要な場合は、プロの鑑別機関できちんと調べてもらいましょう!
※他にもムーンストーンにまつわる記事は色々あります。宜しければコチラを参照ください★
カラッツ編集部 監修