「高貴」「気品」「癒し」、紫色のアメジストが持つイメージは、大人っぽい、落ち着いた印象があります。私が初めてアメジストを見たのは、父のネクタイに付いていたネクタイピンとカフスボタン。アメジストは女性にも男性にも好まれる石ですよね。
宝石の中で、比較的大粒の石でも値段がお手頃なアメジスト。また古い歴史を持つ石としても知られています。
アメジストは古来より禁酒、禁欲のシンボルとしても人気がありました。ロシア最強の女帝と言われたエカテリーナ2世が好んだ石としても有名です。
今回は、意外と知られていないアメジストの「原石」の魅力についてご紹介しましょう。
アメジストの原石とは
アメジストの性質
アメジストは和名を「紫水晶」といい、硬度は7。水晶の中でも「顕晶質」と呼ばれる大きめな結晶のクォーツ です。本来は無色透明なクォーツに鉄分やアルミニウムなどが混じることにより、透明なピンクに近い紫色から青紫色や濃い紫色まで、様々なバリエーションが生まれます。
アメジストは紫外線に当てすぎると色が褪せてしまう退色効果が有名です。反面加熱すると色が変化しやすいという特徴があります。火気のそばで使わないようお気をつけください。
またシトリンと呼ばれる黄水晶のほとんどがアメジストを加熱して作られ、半分が紫で半分が黄色い石のことは「アメトリン」という別名がつけられています。
アメジストに込められた意味
アメジストの宝石言葉は「誠実」「心の平和」「真実の愛」など。
また「人生の悪酔を排除する」石として古来から聖職者が好んで身につけていました。
アメジストの持つ紫色は昔から高貴な色として貴族や特権階級の人間に愛されてきましたが、中でも
「アメジストが邪悪な思念を取り去り、知力を高めてくれる」
と大切に身につけていた人物の1人が、ルネッサンス時代の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチでした。
呪いのアメジスト
呪われた宝石、といえば、「ホープダイヤ」が有名ですが、大英博物館に収蔵されている「呪いのアメジスト」をご存知でしょうか。
「デリーの紫サファイア」と呼ばれるこのアメジストの持ち主は、科学者のエドワード・ヘロン=アレン氏。彼の死後、彼の娘から大英博物館に寄贈されました。
この3.5cm×2.5cmの美しいアメジストはもともとはインド・デリーの寺院にあったもの。しかしインドがイギリス領だった時代、1850年代に植⺠地 反対運動が起きた際、イギリスのフェリス大佐によって略奪 。しかし その後大佐は全財産を失い、謎の死を遂げます。
さらに家族にも不幸が続いたため、息子がこのアメジストを友人に売却したところ、その友人まで自殺。その後もこのアメジストを譲り受けた人々は次々と不幸に襲われたそうです。
なんだかアメジストって怖い、と思ってしまうエピソードですが、それだけ魅力がある宝石だということですかね。
世界最大のアメジスト原石
出典元:http://www.geologypage.com/ |
アメジストの主な産地はブラジル、ケニア、マダガスカル、ザンビア、ロシア、カナダ、インドなどです。日本でも宮城県や石川県、鳥取県などで採掘されていた記録があります。
こんな世界中で採掘されるアメジストですが、では現在世界最大のアメジストの原石は?というと。。。
1825年に独立国となったウルグアイで2007年に採掘されたこちらのアメジスト。その高さは3.27m、重さは2.5トンも!「ウルグアイの女帝」と呼ばれ、オーストラリアの博物館に所蔵されています。写真で見ても嘘みたいな大きさですよね。
最後に
いかがですか。アメジストにまつわる小ネタを幾つかご紹介しました。アメジストは値段もお手頃、そして男女どちらにも愛される宝石としてプレゼントにも最適な宝石です。自分へのご褒美にもアメジストはオススメ。良いアメジストが見つかりますように。
カラッツ編集部 監修