皆さまは、カットされたダイヤモンドの内部をルーペなどで覗いてみた経験はありますか?
その時もし、ダイヤモンドの中から花やハートの模様が現れたらいかがでしょう。
一瞬胸がキュンとしてしまうかもしれませんね。
そんな特殊カットが施された、メイドインジャパンのダイヤモンドがあります。
作られているのは国内でも珍しいダイヤモンドデザイナーの黄金井弘行(こがねい・ひろゆき)氏。
黄金井氏はこれまでに様々なオリジナルカットを考案されてきました。
ということで、カラッツ編集部が神奈川県厚木市にある黄金井氏のダイヤモンド研磨工房を訪問し色々お話を伺ってきました!
自社で開発されたという機械のことや、オリジナリティあふれる様々なカットの誕生秘話など、気になる話が盛り沢山です!
一般的には知られていないダイヤモンド研磨にまつわるアレコレも聞いています。ではどうぞ!
目次
黄金井弘行氏について
詳しいお話に入る前に、黄金井弘行(こがねい・ひろゆき)氏について少しだけご紹介しますね。
黄金井氏はかつてオリエンタルダイヤモンド工業(現:オリエンタルダイヤモンド)で、ダイヤモンドのデザインから加工までを行う部署で長く勤務されていました。
時代の変化とともに、取り巻く環境なども変わり、求められることも徐々に変わっていきます。
その中で、研磨作業を数学的計算に基づいた方法を用いてマニュアル化したり、ダイヤモンドをリカットすることでグレードを上げて再流通させる方法を見出したりと、過去に囚われ過ぎない柔軟な考えのもと、多くの新境地を開拓されました。
ダイヤモンドにオリジナルカットを施すこともオリエンタルダイヤモンド工業時代のある経験がきっかけだったといいます。
1997年に独立。「株式会社タスコ」を設立し、有名ブランドを始めとした多くの企業向けにハイクォリティのカットが施されたダイヤモンドを数多く作り出します。
時にはブリリアントカットより多い面を持つ多面体の製作依頼を受けることもあり、カット面が1,000面以上もあるダイヤモンドを作ったこともあったそうです。
23ct程あるダイヤモンドからリカットされたといいますが、それでも1000面以上のカットを施すのは大変な集中力と忍耐力を要すに違いありません。まさに神業ですね!
2007年より、オリジナルデザインのカット製作により力を入れるようになり、模様を映し出したり、形に拘った数多くの商品を生み出されています。
ダイヤモンド研磨の工程
皆様は、ダイヤモンドがどのような工程で研磨されるのか具体的にご存知でしょうか?
画像を見たことがあったり、何となく分かっているという方は居ても、意外と一般的には知られていないような気がします。
まずはダイヤモンドの研磨工程について、簡単にご説明しましょう。
よくご存じという方は飛ばしてくださいね。
※以下で使用させて頂いているイラストは全て、創作ダイヤモンドこころ公式サイトより引用
マーキング
出典元:創作ダイヤモンドこころ公式サイト |
目指す形に、より無駄なくカットできるように原石にラインを引く作業です。
この時、内包物の位置や大きさ、より美しい色合いを引き出せるかなども考慮して位置を決めます。
ソーイング
出典元:創作ダイヤモンドこころ公式サイト |
マーキングで引いたラインに沿い、ソーイングマシーンを使って原石をカットする作業です。
ダイヤモンドパウダーが塗られた銅の刃に原石を当てて、時間を掛けてカットしていきます。
原石は主に2つにカットされ、それぞれ別のカットが施されることになります。
ガードリング
出典元:創作ダイヤモンドこころ公式サイト |
ソーイングした後の原石は側面が角張っています。これらを滑らかな曲面にするのがガードリングです。
原石を別のダイヤモンドに当てながら、くるくると回して少しずつ形を整えていきます。
クロスワーク
出典元:創作ダイヤモンドこころ公式サイト |
ガードリングで形が整ったら、最終仕上げとなるまでの余分な箇所を大まかにカットします。
「荒削り」とも呼ばれる工程です。
「スカイフ」という円盤状のパワフルな機械を使い、クラウンとパビリオンに8面ずつ、計16面のファセットを施します。
リガードリング
出典元:創作ダイヤモンドこころ公式サイト |
ダイヤモンドのクロスワークが終わったら、最終的な外周面をカットします。
外周の計算や微調整を手作業で行い、ダイヤモンドパウダーが練り込まれた特殊な刃を高速回転させカットします。
パビリオンのカット
出典元:創作ダイヤモンドこころ公式サイト |
パビリオンとは、カットしたダイヤモンドのガードルから下の部分を指します。
美しい輝きが生まれる土台となる場所であり、カット工程でも重要な作業となります。
クラウンのカット
出典元:創作ダイヤモンドこころ公式サイト |
カットしたダイヤモンドの、ガードルから上部分をクラウンと呼びます。
全体の輝きを引き締めると同時に、ダイヤモンドの見た目を左右する、デザイン的にも大切な部位となります。
最終チェック~洗浄
カットが完成したら、ダイヤモンドの鑑定基準である4Cの内、カットのグレーディングにおける基準を確認します。
問題なければ、研磨の際に付着したダイヤモンドパウダーなどを落とすため、煮沸した硫酸に入れて洗浄します。
以上で完成です!
ヒロ・コガネイコレクションについて
黄金井氏によるダイヤモンドカット、ヒロ・コガネイコレクションは全て独自で考案されたオリジナルデザインです。
インタビューを通して伺った、その特徴と魅力、誕生秘話などをお伝えしていきましょう!実は意外なところに大きな拘りとポイントがあるそうですよ。
特徴
黄金井氏の手がけるデザインの最も大きな特徴は、すべて数学的論理に基づいて計算されているというところです。
元々、ラウンドブリリアントカットもマルセル・トルコフスキーが数学的論理に基づき導き出した結果から生まれたといわれますので、考え方は同じなのだと思います。
黄金井氏は、前述したように、オリエンタルダイヤモンド工業時代に研磨作業を行うためのマニュアルを作成した経験があります。
職人の経験や勘に頼るのではなく、誰でも同じクォリティに研磨できるようにという考えのもと、三角関数を用いて導き出された数値に合わせて研磨するという方法を当時確立されました。
色石の研磨においては聞いたことがない考え方だったため伺ったところ、色石はモース硬度や結晶構造、性質などが多岐に渡り一つに絞った考え方が難しいのに対し、ダイヤモンドは一つの鉱物なのでそれに特化した考え方や方法を導きやすいからかもしれない、とのことでした。
また、ヒロ・コガネイコレクションには花や草木といったモチーフがダイヤモンドの中に見えるものも多くあります。
実はこれらは、そのモチーフをダイヤモンドにそのまま彫り込んでいる訳ではありません。
それもヒロ・コガネイコレクションの大きな特徴の一つです。
オリジナルデザインを始めたきっかけ
前述のとおり、ダイヤモンドにラウンドブリリアントカット以外のカットを施すことに興味を覚えたのは、オリエンタルダイヤモンド工業時代のことでした。
当時取引先からの依頼で「アポロンエイト」という全反射ダイヤモンドを製作していたそうですが、ある時、それを購入された方からダイヤモンドの中にハートと矢のような模様が見えると言われます。
精密な数値に基づいて地道に研磨した結果、知らない間にダイヤモンドの中にそのような模様を作っていたというのです。
これが今日、「ハート&キューピッド」などと呼ばれ、カットの美しさを物語る一つの指標となっているものです。
このことをきっかけに、自分たちの技術力の高さを再認識し、オリジナルカットの考案にも興味を覚え始めた黄金井氏。
オリエンタルダイヤモンド工業時代も依頼を受けオリジナルカットを施すことはあったようですが、本格的に取り掛かるようになったのは、独立してからでした。
依頼を受け、多面体のダイヤモンドを製作したりする日々のなか、ある時黄金井氏に大きな転機が訪れます。
きっかけはリーマンショック。経済が大きく揺らぎ、何人かの職人が会社を去り、黄金井氏自身、一時は会社を辞めようと思ったその時です。
残った2人の職人が「もう少し一緒に頑張ろう!」と励ましてくれ、「どうせダメになるなら、他と違うことをやろう」と気持ちを切り替え、オリジナルカットの製作に力を入れることにしたといいます。
最初に生み出されたのは、「虹」。
ある職人の結婚をきっかけに開発が始まり、それまで主流だった偶数面ではなく奇数面のカットを施してみたところ、面白い輝き方をすることが分かり、そこから生まれたカットなのだそうです。
奇数面にカットすることで、ダイヤモンドの中で光が回るため、虹色の輝き(ファイア)が鮮やかに見え、そこから「虹」という名前が生まれたといいます。
ラウンドブリリアントカットとの違い
ダイヤモンドの代表的なカットであるラウンドブリリアントカットは、通常58面(もしくは57面)にカットされます。
ラウンドブリリアントカットとヒロ・コガネイコレクションの最も大きな違いは面数。
面数が異なるため、放つ光の筋も異なります。
特に奇数面のカットは、ラウンドブリリアントカットとは異なる輝き方をします。
レーザー光線を使うと、その違いがより分かりやすく見えます。
365面の日輪は、ラウンドブリリアントカットよりも細かい光線を放ち、更にそれらが螺旋階段のように回って見えるのがお分かり頂けますでしょうか。
もう一つの違いは、一部のカットに花や草木などをモチーフとした模様が浮かび上がることです。
肉眼でも大きさによっては分かりますが、
ルーペや工房オリジナルのスコープを使って見ると・・
より鮮明に見えますね。
デザインへのこだわり
黄金井氏は、もらった人が嬉しいと思うものや、日本人だから桜といった、コンセプトやストーリーが語れるデザインに拘っているといいます。
また、モチーフが浮かび上がるデザインのものは、前述したように、絵をそのままダイヤモンドに彫り込んでいる訳ではありません。
内部に入った光がその形に反射することで、模様を視覚的に確認できるようデザインされているのです。
直にモチーフを彫り込むとその部分だけ光を抜いてしまうことになり、ダイヤモンド本来の美しさを奪いかねません。
そのため、輝きを出しながら個性を引き出すことに重きをおき、数値を計算して様々なデザインを考えるようにしているのだそうです。
ちなみにこちらの図、ヒロ・コガネイコレクションのある商品の設計図だそうですが、どの商品かお分かりになりますでしょうか。
答えは「心(こころ)」。
真ん中にハートが映し出されるデザインのものです。
設計図だけを見ると、模様がよく分かりませんが、テーブル面から除くと
ハッキリとハートが浮かび上がります。
デザインを完成させる上で最も難しかった点は、ハートの外周部分に丸みを持たせること。
コガネイコレクションの中で完成までに最も時間を要した商品だそうです。
昔あるお客様で、この「心」が大好きとおっしゃられた方がいたといいます。
その方は引っ込み思案で人前に出ることがあまり得意ではなく、「心」の主張しすぎない輝き方が自分と重なるからとお話下さったそうです。
この方のように、多くの方に自分に合った輝き、素直に好きと言えるデザインを見つけて楽しんで欲しい、というのが、黄金井氏の根底にある思いであり、デザインにおいて一番拘るポイントです。
最も拘っているポイント
デザインや設計に独自のこだわりを持つ黄金井氏ですが、最も拘っているところは、機械。
黄金井氏いわく、ダイヤモンド研磨は機械に大きく左右されるため、どのような機械を使うかがとても大切なのだそうです。
勿論、職人の技術や経験が物をいう場面も多くありますが、逆に経験が少なくても良い機械とマニュアルがあれば、ある程度の水準に達することは難しくないといいます。
元々はベルギー製の機械などを使用されていたそうですが、細かい調整が難しかったことなどから、知り合いの工場に頼み、オリジナルで作ってもらったそうです。
そしてもう一つの大きなこだわり、デザインを数値化するためのコンピュータソフトも自社開発されています。
会社勤めをされていた頃は電卓もない時代で、計算尺を使って数値を出していたそうですが、現在は独自に開発されたコンピューターソフトにより、簡単に算出することができます。
例えば、原石の大きさや寸法などを測定しその数値を入力すると、目的のデザインに仕上げるために、どの部分をどれだけ削れば良いか自動的に数値が出てきます。
そうして導き出された数値を紙に打ち出したものを「カルテ」と呼び、「カルテ」を元に、職人がカットしていきます。
数値を元にしているため、明確に目線合わせができ、一定水準のクォリティを保ちやすいという訳ですね!
ダイヤモンド研磨の難しさ
実際に研磨されている職人の方にもお話を、ということで、ベテラン職人の山田さんにお話を伺うことができました!
ダイヤモンドと色石の研磨で、最も大きく異なるのは、ダイヤモンドは結晶構造の関係で研磨しやすい方向としにくい方向があるということ。
結晶軸に平行な面が研磨しやすく、垂直な面がしにくいといいます。
昔は、このような薄い銅板
を使って原石を切断することが一般的だったため、結晶軸に平行にしか切断されなかったそうですが、現在は技術が発達し、レーザーを使って切断することが増えたため、結晶軸と関係のない方向に切断されることも多いそう。
その結果、研磨しようと思っても思うように進まないこともあり、研磨できる方向を探すのが大変なんだとか。
ベテランになって来ると、ダイヤモンドを機械に当てた時の振動や感覚で削りやすい面か否かが分かるため、そういった感覚を頼りに探していくそうですが、経験が浅い内は感覚がつかみ難く苦労も大きいそう。
職人の世界はやはり奥が深いですね。
黄金井氏のデザインを研磨する上での難しさ
黄金井氏が考案したデザインの設計図を具現化するために、最も難しいのは、平面的に描かれたデザインを立体化することだそうです。
黄金井氏がデザインを設計する際は、まずは数値を出して設計図を書き、それを元にキュービックジルコニアを使って試作品を作るところから始まります。
最初から思ったような形になることは殆どないそうですが、やってみないと分からないため、まずは作ってみて、もう少し角度を上げようか、下げようかとか微調整を繰り返し試行錯誤しながら少しずつ完成させていくのだといいます。
しかし当たり前のことですが、一度削ったら元には戻りません。
試作品のキュービックジルコニアでは何となく形が決まり、ダイヤモンドで試してみたら、思っていたようにはならず、駄目にしてしまうことも多々あり、完成するまでに1年近くかかるものも多いそうです。
こうした地道な努力の結果、あの素晴らしいダイヤモンド達が生み出されているのですね!
ヒロ・コガネイコレクションの種類
黄金井氏がデザインしたヒロ・コガネイコレクションにはそれぞれタイトルとテーマが付けられています。
代表的なデザインのいくつかを、誕生秘話とともにご紹介しましょう。
桜
71面体のカットで、日本人の心を象徴する「桜」の模様が映し出されます。
桜が咲く季節をイメージした、「新たな一歩へのステップ」という思いを表現しています。
日本人の心に大きな存在感をもつ桜はぜひ形にしたいデザインだったという黄金井氏。
モチーフが浮かび上がるものとしては最初に考案され、他にはないものを作り出すため何度も試作を重ね拘りぬいた末に完成しました。
輝きを利用してモチーフを浮かび上がらせるという構想も、桜だったからこそ生まれたのかもしれません。
桃<ピーチ>
桃の節句(ひな祭り)に飾るピンク色の桃の花をモチーフにした、88面体のカットです。
花の中央に星の様な模様を施し、雄しべ雌しべまで細かく表現しています。
「心を和ませる」「祝福」「生命力にあふれる」といった思いが込められています。
よりリアルな花を表現したくて生まれたデザインだそうです。
クロス
85面体にカットされた、十字架模様が現れるデザインです。
キリスト教を象徴するクロスは、古来から純潔や決意を意味するとされ、護符としても大切にされてきました。
クロスの縦と横の長さが異なるため、輝きに影響が出ないよう高技術でカットされています。
当初クロスの縦と横の長さを変えることが難しく、何度も試行錯誤を重ねた結果、ある時ひらめき、完成に至ったデザインとのことです。
向日葵
夏を代表する花「ひまわり」をモチーフにした、101面体のカットです。
イエロー系のダイヤモンドの美しさをより引き立たせ、黄金色に近い輝きを醸し出しています。
鮮やかで明るいイエローの煌めきは、太陽の光を浴びて大きく咲き誇るひまわりそのもののようです。
ファンシーカラーダイヤモンドを使用する唯一のものです。
日輪
1年の日数である365日を表現する、365面体のカットを施したデザインです。
持つ人を毎日見守りながら、安らぎを与えてくれるという思いが込められています。
日輪が生まれたきっかけは1カラットの一つの原石。
この原石から「カット可能な面数で語呂が良いもの・・・」と考えた結果、1年の日数である365日を思いつき、生まれたデザインなのだそうです。
365面から繰り出される輝きは何ともいえない眩さと圧巻の存在感があります。
その他
先にご紹介した虹や心の他、クローバー(四つ葉)、昴、太陽、といった個性豊かなデザインが数多く揃います。
詳しくは、黄金井氏の公式サイトにてご確認ください☆
黄金井氏がダイヤモンドに拘る理由
黄金井氏が扱うのはダイヤモンドだけで、ルビーやサファイアなど色石のカットは行っていません。
色石を扱わない理由を尋ねたところ、
「ダイヤモンドは奥が深く、いまだに突き詰められていません。色石には敢えて手を出さず、まずはダイヤモンドを極めたいですね」
とのことでした。
色石とダイヤモンドでは、使用する機械も研磨方法も大きく異なります。
先程もお伝えしたとおり、ダイヤモンド研磨の場合は機械の精度によって仕上がりが変わるといいますが、色石研磨の場合、職人の腕や経験が物をいう部分が多いと聞きます。
二つは土俵が違い過ぎて、設備投資や職人の教育など、イチから始めるには大きなリスクを伴うのかもしれません。
それよりも得意分野で、他がなかなか追随できないような絶対王者を目指す方が今の時代には合っているのかもしれませんね!
黄金井氏が今後目指すところとは
ダイヤモンド研磨に熱い情熱を捧げてこられた黄金井氏。
これまで数多くのオリジナルカットを考案されてきましたが、今後どのような目標をお持ちなのでしょうか。
「禅の世界を表現したいです。これは天空だ、水の世界だというのを、自分なりにカットしたい。思うように表現して、それが分かる人に買って欲しいです」
と夢を語ってくれました。
「万人に受けることがなくても、1人の心に刺されば嬉しい」
のだそうです。
黄金井氏が思い描く禅の世界が映し出されたダイヤモンドがどう輝くのか見るのが楽しみですね!
これからダイヤモンド業界を目指す人へメッセージ
黄金井氏の工房で働く職人の中には、元々福祉関係の仕事をしていて、たまたま知り合いになったことがきっかけで入社して、ダイヤモンド研磨の道に進んだ方もいます。
「この仕事を始めるのに資格や経験などは必要ありません。ダイヤモンドに関する用語やルーペの使い方を知っていると仕事が覚えやすいというのはありますが、本当に大切なのはやる気です。」
また、今まで何人もの職人を見てきて気づいたこととして、負けず嫌いで、頭で考えるより体で覚えることが得意な運動神経の良い人がダイヤモンド研磨職人には向いている気がする、とのこと。
「販売する人には特徴をもって売ることが大切ではないかと私は思っています。
値段競争をするより、それぞれが自社の特徴を打ち出した売り方をする方が共存しやすくなる気がします。」
例えば、ペアシェイプにとことん拘って売っているお店があっても良いのでは、ということだそうです。
最後に
黄金井氏が展開するオリジナルカットの世界いかがでしたでしょうか。
芸術的な見た目に反して、実は数学的論理に基づく、緻密な計算のもと作られていることが分かり、個人的にはそのギャップがとても面白かったと思います。
そしてそのデザインの完成までには、平均1年以上の歳月を要していることも分かりました。
たった一つのダイヤモンド原石が美しく輝くまでに、多くの人々の手と時間が必要です。
オンリーワンの輝きを届けるために、今日も多くのプロたちが地道な努力を積み重ねています。
黄金井氏が手掛けるヒロ・コガネイコレクション、宜しければ今後注目してみて下さいね!
カラッツ編集部 監修