突然ですが、自分だけのオリジナルジュエリーを作りたい!と思ったことはありませんか?
シンプルなリングを作れる場所は都内を始め幾つかありますが、ラッキー商会が運営する「ラッキーオープンファクトリー(Lucky Open Factory)」なら、宝石の付いた指輪やペンダントトップを作れるという、宝石好きにはたまらない体験ができます!
しかも、隣接された工場ではジュエリーについて学んだり、職人さん達が実際に働く姿を見れるというスペシャルな場所。
ということで今回は、カラッツ編集部が山梨県甲府市にある「ラッキーオープンファクトリー」に訪問し、工場見学とジュエリー製作体験をしてきた内容を中心にお届けしたいと思います。
当日は、社長にもお会いし、貴重なお話を伺うなど、とても楽しく充実した時間を過ごせたようですよ。
それではたっぷりとご紹介していきましょう!
目次
ラッキー商会について
ラッキーオープンファクトリーを運営するラッキー商会はジュエリーの街としても知られる山梨県甲府市に本社を置くジュエリーメーカーです。
現社長は3代目となる望月直樹氏。
民間企業での勤務経験を経て、2004年に社長に就任されました。
ジュエリー業界に参入されたのは、お父様である2代目の時代で、その地盤を引き継いだ望月社長が現代のニーズに合わせた形に拡大していかれたのだそうです。
ラッキー商会の特徴
ラッキー商会の最も大きな特徴は、自社で企画から販売までの全工程を行っているというところです。
モノ作りは型を作ることからスタートするという信念のもと、型を作ることに重きを置き、型作りへの投資は惜しみなく行っているといいます。
社内にデザイナーや原型師がおり、ジュエリー製作に必要な設備も完備。
全ての工程を社内で完結できるため、スピードやコスト、対応力で他社に差をつけることができるのだそうです。
型ができたら、状況に応じて工場で量産体制に入ります。
主に、ゴールドとプラチナは国内工場で、シルバーは中国の工場でと分けることで、生産性を高めているといいます。
また、百貨店やショッピングモール内の実店舗、テレビショッピング、オンラインショップなど幅広い流通チャンネルをもっていることもラッキー商会の大きな強みです。
例えば、今回のコロナ禍のように、百貨店が通常営業できず実店舗の売り上げが思うようにいかない時も、オンラインショップなど他での売り上げで、全体をカバーすることも可能ということですね。
色々なマーケットをもつことで、世代ごとのニーズに合わせた販売の形や商品開発ができることも大きいそうです。
ラッキー商会の歴史
ラッキー商会は1937年、石と印鑑の会社として設立され、先程もお伝えしたとおり、2代目の時代からジュエリーを扱うようになりました。
1988年には中国の大連に自社工場を設立。
日本でデザインしたものを中国工場でCAD、製造、メッキ、仕上げまで行うことで、低コストかつ高品質なジュエリーを量産することを実現させました。
そして前述の通り、2004年に現社長である望月直樹氏が3代目として就任されます。
就任当初は、取引先の倒産が相次ぐなど、会社としても厳しい状況下に置かれていたそうです。
そんな逆境の中、インターネットの普及といった時代の変化を酌み取り、卸中心だった事業形態から自分達だけで売れる仕組みを作るなど大きな変革を行い、ジュエリー事業の拡大に成功したといいます。
2013年には本社屋をリニューアルし、「ラッキーオープンファクトリー(Lucky Open Factory)」を開設。
一般の人も気軽に工場見学や手作りジュエリー体験ができるようになりました。
現在では「me」「with me」「L&Co.」といったプライベートブランドや、ブライダルブランド「L&Co.BRIDAL」なども展開し、幅広く販売されています。
工場見学や手作りジュエリー体験を始めたきっかけ
以前より、ラッキー商会の本社工場には学校や販売店の方たちなどが見学に来ることが多かったといいます。
そこで、本社工場をリニューアルする際、見てもらう場所を綺麗にすることを第一目的に、工場見学と製作体験がしやすいスペースを設けることにしたそうです。
ジュエリー製作は全てが機械任せにできる訳でなく、人の目や手に頼らざるを得ない工程が多くあるのですが、意外と理解されず、少し調整すれば納期を早めることも簡単だと思われがちなのだとか。
しかし実際に体験してもらうと、工程の多さや大変さ、どれくらい人の手が必要で、時間が掛かるかを身をもって知ってもらうことができ、その後の取引きに信頼と深い理解を得やすいといいます。
実際に始めてみると嬉しい誤算も生じ、観光バスなどが多く来るようになったそうです。
主に関東周辺からで日帰りのブドウ狩りツアーに組み込まれることも多かったとか。
現在は、新型コロナの影響で観光バスは減ってしまったようですが、代わりに個人での問い合わせなどは増えているようです。
一般のお客様と接点がもてることは、ジュエリー製作の楽しさを直接伝えられるだけでなく、作り手の顔を見せることで信頼度が上がる、市場ニーズを酌み取りやすいというメリットもあるそうです。
また、山梨県甲府市のふるさと納税の返礼品としても登録しており、幅広い層からの問い合わせも増えたようです。
工場見学と手作りジュエリー体験について
体験レポートの前に、まずはコース内容や申し込み方法について簡単にご紹介させていただきますね。
ご興味のある方は要チェックです!
コース内容
コースには、工場見学と手作りジュエリー体験の両方入ります。
工場見学では、製作工程についてのお話を聞いたり、実際に働く姿を見ることなどが、手作り体験では、マイスターと呼ばれる経験豊かな職人の指導のもと、磨きや石留めなどの体験をすることができます。
詳しくは、この後の体験レポートの中でご確認くださいね。
手作りジュエリー体験の料金は、一人5,000円(子供3,000円)で、所要時間は約30分程度(一人)です。
宝石は10種類から選べます。
事前予約が必要ですので、必ず電話で予約して下さいね!
【お問い合わせ先】 ラッキーオープンファクトリー(Lucky Open Factory) [平日] 055-235-9107 [土日・休日]055-232-5665 ※受付 10:00~17:00 URL:http://www.j-lucky.co.jp/lof.html |
工場見学スタート!
お待たせしました!
それでは、工場見学の様子からご紹介しましょう♪
今回工場案内と手作り体験の指導に付いて下さったのは、マイスターの秋山さんです。
常に優しく丁寧にご対応下さり、とても素敵な方でした☆
「ラッキーオープンファクトリー(Lucky Open Factory)」は、これが工場!?と思ってしまうほど、近代的でオシャレ感漂う建物です。
外装・内装ともに白で統一されており、落ち着いた空間の中色々見て回ることができます。
ジュエリー製作に関する展示物もたっぷり楽しむことができますよ。
画像も沢山撮ってきましたので、併せてお楽しみください!
エントランス
入り口を入ると、そこはもうジュエリー好きにはたまらない世界!!
まだまだ入り口なのに、こんなにワクワクしちゃって良いんでしょうか?
全面ガラス張りになっていて、光をいっぱい取り入れられる素敵な空間です!
デザイン画や過去にメディアで紹介された記事などが壁一面に貼られているコーナーから見学開始です!
2階に移動するためにふと下を見ると、小階段からキラキラとまぶしい輝きが・・・
なんと、ステップの中にキュービックジルコニアがひしめき合っているではありませんか!!
ビッシリと詰め込まれたキュービックジルコニア、約100万粒ほども入っているそうです。
2階へと続く階段脇にある壁には、ジュエリーの原型がおよそ4万個近く展示されています。
これらは今も現役で、必要に応じてココから取り出して使用するのだそうです。
こんなに多くのジュエリーの原型を目にする機会は一般的にはないのでとても貴重ではないでしょうか。
リング、ペンダントトップ、ピアスなど、それぞれ色々な形があってとても興味深い空間です。
ラッキー商会歴史パネルの展示
階段を登ると、ラッキー商会の歴史を紹介するパネルコーナーがあります。
年代別に、ラッキー商会が製作したジュエリーや思い出の写真などが展示されています。
ココには実は面白い趣向が凝らされており、壁に書いてある赤いグラフのような線は、当時の地金相場を表しているのだそうです。
どの時代に金が高かったかなどが一目瞭然という訳ですね。
現在、金の価格が上昇しているのがよく分かりますね。。
ジュエリーができるまで
2階に着くと展示スペースが広がります。
そしてその一角に「ジュエリーができるまで」というコーナーがあります。
ジュエリー製作に使う道具を見せてもらいながら、使い方や作り方などを分かりやすく説明して頂けます。
ジュエリーはシルバーの原型からゴム型を作り、ワックスを流し込んでワックスチップを作るところから始まります。
ゴム型は悪くならない限り流用できますので、使い終わったら大切に保管しておきます。
マイスターの後ろの壁一面に収納されているのがこれまでに作成されたゴム型たちです。一つ一つ型番が書かれ管理されています。
完成したワックスチップはツリーにかけます。
量産品の場合は、1本のツリーに同じデザインのものを掛けるそうですが、オーダーメイドなど一点物の場合は、異なるデザインのものを幾つか一緒に掛けて同時に型を作ることもあるそうです。
小さなジュエリーを一つ作るのに、多くの人の手と工程が入ります。
中には失敗したらイチからやり直ししなければならない工程もあり、思っていたより手が掛かっていることがよく分かるお話でした。
質問にも丁寧に答えて頂け、とても勉強になったようですよ。
ココで突然ですが、クイズです。
この石、何の石か分かりますでしょうか?
答えはプラチナ。
中で小さくキラキラと輝いているのがプラチナだそうです。
プラチナのリングを1つ作るのに、約1トンの原石が必要なのだそうです。
ちなみに、この大きさの原石だと石留め用のツメ1つ分のプラチナが採れるかどうか・・・といったところなのだとか。
プラチナが貴重なのがよく分かるお話ですよね。
職人が働く姿が見えるコーナーも
展示コーナーを出て、長い廊下に進むと、今までに製作した特別な製品や思い出の写真などが展示されています。
その先にデザイナーや職人の皆さんが実際に仕事をされている現場があり、覗き見ることができます。
CADを使ってジュエリーのデザイン画を製作されているところですね。
素敵なジュエリーのアイデアが誕生する瞬間です。
レーザーの機械でしょうか。なんだか使うのが難しそうです。。
鋳造室では、ゴールドやプラチナを溶かして、ジュエリーの形を作っている様子を見ることもできます。
その他、話題の製品の現物やキャストツリー、紹介記事など色々と飾られており、見ているだけでも飽きません。
お待ちかねの手作りジュエリー体験!!
工場見学が終わると、お待ちかねの手作りジュエリー体験の時間です!
当日は、インスタライブで生配信するという試みも行い、とても盛り上がったようです。
KARATZ公式Instagramにアーカイブが残っていますので、ご興味がある方はそちらもぜひご覧ください。
枠や宝石選びから、本当に楽しくって仕方がない様子が伝わってきましたよ。
一人で難しいところはマイスターに手伝って頂けますので、その点もとても安心です。
今回編集部が選んだリングの枠と宝石です。
コースでは選んだ素材によって作業の順番などが少し異なります。
こちらでは「シルバーの原石リング」の製作工程を追っていきます。
ヤスリがけとリューター磨き
まずは、ヤスリで突起部分を削ります。
その後、リューターという機械を使って、金属の表面を磨く作業にかかります。
指先でリングをつまんで、リューターを当てていきます。
リングの側面にリューターを当てると、素材がみるみる美しく輝いてきます。
ぐるぐる回るリューターをリングの表面に上手く当てるのは、素人には結構難しかったようで、持つ力が弱いとリューターが表面でツルッと滑ってしまい上手く磨けません。
使っているうちに、段々とコツが分かってきました!
慣れてくると、とても楽しそうですね。
ツメも1本ずつ磨いていきます。
なんて細かい作業・・・ジュエリー製作って、こんなに手間と時間が掛けられてているのですね。
石留め
次に、選んだ宝石をリングの枠にセッティングする「石留め」の作業へ進みます。
宝石をツメの間に入れたら、道具で一つずつツメをギュッと押して倒していきます。
力が入りやすいようにリングをなるべく固定し、しっかりとツメが留まるよう少しずつ力を入れていきます。
バフ研磨
石留めが完成したら、バフ研磨の機械を使ってピカピカに磨いていきます。
マイスターが手にしているものが、バフ研磨に使用する研磨剤です。
細かい粒子を油で固めたものなのだそうです。
素早く回転する機械にリングの外側を当てて磨いていきます。
バフ研磨の機械は高速回転するため、シルバーのように熱伝導率が高い素材は摩擦熱ですぐに熱くなります。
使い慣れていない素人は熱くて長く当てていられなかったり、油断するとリングが飛んで行ってしまいます。。
しかし上手くできない場合は、マイスターがフォローしてくれるので安心です。
バフ研磨が終わったらリューターのビット(先端)をフェルトのものに替えて、内側も磨いていきます。
内側は難しいため、マイスターにお任せします。
全て磨き終わったら超音波洗浄機に入れて洗い、研磨剤などを落とします。
ラッキー商会のロゴ入りの可愛い箱に入れてもらい、完成です!!
販売ショップでお土産も
ラッキーオープンファクトリーでは、販売ショップが隣接しており、ラッキー商会の商品を購入することもできます。
先程工場見学で見て来た現場から生まれるラッキー商会の素敵なジュエリーを思い出に購入するのも素敵ですよね。
社長からのメッセージ
時代のニーズに合ったジュエリービジネスを幅広く展開し、ジュエリー業界を牽引され続けている望月社長。
そんな望月社長に、これから手作りジュエリー体験をしたいという方や、今後ジュエリー業界で働くことを希望している方たちへのメッセージを伺ってきました。
体験にいらっしゃる方へ
手作りジュエリー体験をされる方の立場によって、我々の立ち位置も変わってくると思っています。
お客様がモノ作りを体験することで、もっとジュエリーを好きになって頂けることが一番の望みです。
カップルでブライダルリングを作るのも良いと思います。
コースは小学生から体験できるようになっていますので、親子で楽しんで頂くこともできます。
何度もお伝えするようですが、ジュエリー製作には多くの工程と時間を要します。
例えば、磨きの作業一つ取っても、細かい部分が思っていた以上に難しかったり、時間が掛かることもコースを通して実感して頂けるのではないかと思います。
機械だけではやり切れない部分は人間の手で行わなければならない、それがジュエリー製作の実情です。
現場を見たり製作体験をして頂くことで、ジュエリーが何故高いのか、その価値の高さや貴重さなども分かって頂けるのではないかと思います。
これからジュエリー業界で働きたいと思っている方へ
最も大切なのは、モノ作りへの興味をもつことではないかと思います。
従来のように美大や芸大を出てデザイナーになるというより、今は自分で描いて作って売る時代です。
そういった新しい人材は、自分で作って売りながら、仕事の人脈を広げられると思います。
我々はそういった人材を求めています。
将来的にはこのような形態を取り入れた会社になっていきたいので、チャレンジ精神がある人にはぜひ挑戦してほしいです。
モノを売る会社はたくさんありますが、モノ作りから全てを行える会社は意外と少なく、減少傾向にあるんです。
だから商品を作るメーカーとマーケティング会社がお互いに高め合い、Win-Winの関係を築かないと難しいと思っています。
また、お客さんがどのような商品を求めているかを知ることも大事ですね。
情報収集したり、販路を広げたり、毎日コツコツとやっていくことが一番大切ではないかと思っています。
最後に
ジュエリーの製作現場を実際に見たり、自分で選んだ宝石でオリジナルジュエリーを作ることができる「ラッキーオープンファクトリー」。
宝石好きにはたまらない、夢のような空間ではないかと思います。
ご興味をお持ちになった方はぜひ体験しに行ってみて下さいね。
ということで、申込み方法のおさらいです。まずは事前に電話でご予約ください。
【お問い合わせ先】 ラッキーオープンファクトリー(Lucky Open Factory) [平日] 055-235-9107 [土日・休日]055-232-5665 ※受付 10:00~17:00 URL:http://www.j-lucky.co.jp/lof.html |
ちなみに、体験はしてみたいけれど、甲府市まで行くのは難しいという都内在住の方へ!!
甲府の工房と内容やお値段は少し異なりますが、日本橋にあるL&Co. アトリエ日本橋店でもジュエリー製作や石留め体験ができます!
ご興味がある方は、サイトにて詳細をチェックしてみて下さいね。
最後に、ラッキー商会さんから皆さんにクイズです。
下の写真の2つのリング、一つは最終工程である検品作業でNGだった商品です。
どちらがNGで、どこが引っ掛かったかお分かりになりますでしょうか。
答えはこちら!
正解は、左の製品でした。
よく見ると、赤い石のセッティングが傾いているんです。分かりますか?
右の方のOKの製品は、傾きがなく真っすぐに石留めがされています。
こんな小さなミスも逃さない、プロの目って本当にスゴイですよね!
ジュエリーは多くのプロ達の手と目を経て私達の元に届けられています。
お手元のジュエリーもきっと多くの人の力によって愛情を込めて丁寧に作られたものだと思います。ぜひ末永く大切に使ってあげて下さいね。
カラッツ編集部 監修
[…] KARATZ様 取材掲載ページへ ラッキー商会の工場見学&ジュエリー製作の体験取材をいただきました! […]