「ダイヤモンドは永遠の輝き」
この言葉を知らない女性はいないのでは?
この言葉が誕生したのは、1947年のアメリカ。ある会社の広告コピーとして、若い女性ライターが考案した言葉です。現在まで70年、ダイヤモンドの価値を表す言葉として世界中で使われています。
この言葉通り、ダイヤモンドの永遠の元締めとして君臨しているのがこのデビアスという会社。現在私たちが目にするダイヤモンドのほとんどは、このデビアスと、サイトホルダーと呼ばれるごく限られた会社が取引して市場に出回っているのです。
このダイヤモンドの取引は年に10回程度。その取引方法には、数百年前から伝わる不思議な儀式が今でも実行されているとか。
まさに秘密結社のようなダイヤモンドの取引方法。その取引をするディアマンテールとは?
今回は、知られざるダイヤモンドの取引方法と歴史についてご紹介します。
世界のダイヤモンドを支配したセシル・ローズ
古来、ダイヤモンドはインドやブラジルなどで細々と採れる大変希少な鉱物でした。しかし1870年代、南アフリカで莫大な量のダイヤモンド鉱山が発見されてから、その価値が急降下します。
1870年、わずか10万カラットしかなかった生産量は77年には176万カラット、80年には314万カラット、1913年には600万カラットへと増大し、ダイヤモンドの過剰生産がダイヤモンドの価格を非常に不安定にしました。
この問題にいち早く注目したのが、南アフリカの政治家だったセシル・ローズです。彼はダイヤモンドの生産を1箇所に集約して、価格の安定をはかるために、主なダイヤモンド鉱山を次々に買い取り合併しました。それがデビアス鉱山会社です。
1933年、セシル・ローズの遺志を受け継いだアーネスト・オッペンハイマーによってダイヤモンドの生産から加工、販売にいたる完璧なシステムが生まれます。
彼はDPAと呼ばれる生産業者の連合を作り、その商品を一括で買い上げるDTCという会社を設立、そのダイヤモンドを販売するCSOという機構を作ります。まさに世界のダイヤモンドを独占したのです。
ジェームズ・ボンドの映画「ダイヤモンドは永遠に」は、このデビアスのこのシステムに従わない業者への対応を中心に描かれたサスペンスです。凄い内容ですからぜひご覧ください!
サイトホルダーとディアマンテール
このデビアスと直接取引できる会社は世界でたった87社。(2017年現在)日本では現在TASAKIという会社1社のみです。この取引に参加できる会社をサイトホルダーと呼びます。
ダイヤモンドの取引は1年に10回。この取引に赴く人間がディアマンテールと呼ばれるダイヤモンドの鑑定人です。
ディアマンテールに選ばれた人物は、ダイヤモンドの鑑定の知識だけではなく、「信頼に値する人物かどうか」を厳しく審査されます。試験では「ウソ発見器」にかけられるほか、筆跡鑑定、心理学者による面接など幾つかの試験を経て合格に至るとか。
なぜそこまで厳しく審査されるのか?その理由が、このダイヤモンドの摩訶不思議な取引方法にあるのです。
まるで秘密結社のようなダイヤモンドの取引方法
ダイヤモンドの取引所は「ブース」と呼ばれ、世界に16箇所あります。取引時間は午前10時から午後4時まで。
直射日光を避けるために北側に大きく開いた窓がある部屋と決められています。その自然光の下で、ダイヤモンドは取引されるのです。
各サイトホルダーは、ダイヤモンドの種類別に自社の要求を事前に提出します。しかしこの希望が完全に叶えられることはありません。
ブース内で、CSOからダイヤモンドの原石の入った袋を提示されたら、ディアマンテールは入っている原石をルーペを使って調べます。他の袋を見たり、その袋の中身を選別して買うことは認められません。
与えられた袋の中だけ見て、自社の希望に合致しているか判断し、買うか買わないかを決断します。提示されたダイヤモンドを、全て買うか、全く買わないかの2択しかないのです。
取引が成立すると、お互いに「マザール」といって握手をします。マザールとは、ヘブライ語で「神のご加護あれ」という意味。
売買が成立したダイヤモンドは小さな紙の封筒に入れられて封印され、その上から双方のサインが書き込まれます。
これで取引成立です。数十億円のダイヤモンドの取引は、たった握手1つと「マザール」という言葉で成立してしまうのです。
最後に
いかがですか。高価なダイヤモンドが、「マザール」という言葉1つで売買されるなんて、なんだか魔法みたいですよね。
ダイヤモンドはサイトホルダーがキャッシュを振り込んだら手に入れられますが、約束の期日までは勝手に見ることさえ許されていないそうです。
厳選されたメンバーと、「信頼」だけで取引されるダイヤモンド。う~ん、でもサイトホルダーはダイヤモンドを選別できず、欲しくないダイヤまで買わされるのですから割にあわないような。。。
それでも良しとされるこのダイヤモンドの取引方法、本当に不思議です。
カラッツ編集部 監修