古くから世界中で愛されてきた真珠は、日本では6月の誕生石にも選ばれており、知名度の高い宝石の一つではないかと思います。
真珠のジュエリーは冠婚葬祭など、フォーマルな場でも身に着けられ、ひとつは持っていると安心のアイテムでもありますよね。
近年、有名ブランドが人気男性俳優をCMに起用するなど、メンズジュエリーとしても注目をあびています。
私も真珠が大好きで、知れば知るほど魅力が高まる宝石だと感じています。
ぜひその魅力を知っていただきたく、石言葉や種類、色、産地などについてご紹介していきます!
目次
真珠(パール)とは
真珠は貝によって作られる宝石で、古来より多くの人に愛され求められてきました。
一つ一つ色や大きさ、光沢などが異なり、上品さと華やかさを併せ持ちます。
真珠のジュエリーは年齢に関係なく身につけられ、時代は変わっても変わらぬ人気を誇ります。
真珠といえば真円という印象をもつ人が多いかもしれませんが、実は様々な形を成します。
他の多くの宝石のように人工的にカットが施されることはなく、貝が作り出した形のまま流通することも多いです。
特に天然真珠やバロック真珠などは個性引き立つ形が多く、自分好みのものを探す楽しみもありますね。
▽カラッツSTOREの真珠(パール)▽ |
宝石としての基本情報
英名 | Pearl(パール) |
和名 | 真珠(しんじゅ) |
分類 | 生物源宝石 |
結晶系 | 非晶質 |
化学組成 | CaCo3+有機成分+H2O |
モース硬度 | 2.5 – 4.5 |
比重 | 2.60 – 2.90 |
屈折率 | 1.52〜1.69 |
光沢 | 真珠光沢 |
特徴
真珠は母貝の種類によって地色や特徴が変わります。
しかし、真珠特有の光沢感や深みのある色合いはどの種類にも共通するところ。独特の魅力を感じます。
天然で採れることもありますが、天然真珠は希少性が非常に高く、現在の主流は養殖です。
真珠のように生物や植物から作られる有機質の宝石は、全般的に繊細な性質をもちます。
傷つきやすく、熱や乾燥、汗や酸にも弱く、化粧品などに含まれる化学薬品も真珠を損傷する原因となります。
真珠の美しさを保つためには日常的なケアも大切なんですね。
しかし、そんな繊細さもまた真珠の魅力を際立たせている要因の一つだと私は思います。
石言葉
真珠の石言葉は、「富」「健康」「長寿」です。
富と地位を表すものとして、王室や裕福な人々にも多く求められてきた真珠。
かのクレオパトラが宴会の場で真珠を酢に溶かして飲んだという有名な逸話もありますね。
誕生石
真珠は6月の誕生石です。
6月の誕生石は、真珠の他にはアレキサンドライト、ムーンストーンがあります。
「6月」「真珠」と聞くと、私はジューンブライドを思い浮かべます。
気品があり優雅な雰囲気を持つ真珠は、白いウエディングドレスの花嫁をより一層華やかに美しく演出し、真珠と花嫁は最高の組み合わせではないかと個人的には思っています。
また、真珠は結婚式の出席者にとっても重要なアイテムです。
6月の誕生石の一つとして真珠が選ばれているのにはそういった縁もあってのことかもしれませんね。
真珠(パール)の種類
真珠は生息環境によって、海水産と淡水産の大きく2種類に分けられます。
海水産は海に生息する貝から採れるもの、淡水産は川や湖などに生息する貝から採れるもので、いずれも天然と養殖、両方あります。
先述したように、現在真珠は養殖が主流です。
しかし、なかには天然でしか手に入らないものもあります。
養殖、天然に大きく分けてそれぞれの特徴と代表的なものをご紹介しましょう。
養殖真珠
Photo by : Paulharding00/shutterstock.com
養殖真珠は、人の手が加えられ作られた真珠です。
そもそも貝が真珠を作るのは体内に入った異物から身を守るため。
体内から物質を出し異物を覆うことで無害化すると考えられ、その覆われてできたものが真珠です。
真珠の養殖においては、その異物を人間が故意に貝の中に入れ、真珠を作らせています。
人の手を加えてはいますが、真珠を作ること自体は貝にしかできませんので、すべてが人工ということではありません。
ご存知の方も多いかもしれませんが、真珠の養殖に世界で初めて成功したのは日本人で、1893年、ミキモトの創業者である御木本幸吉であったといわれています。
その後、御木本幸吉をはじめとする当時の研究者や技術者たちが確立したアコヤ真珠の養殖技術が現在に受け継がれ広く使われています。
養殖真珠は人の管理下で生成されるため、天然真珠よりは形や大きさをコントロールすることが可能です。
完全に統一させることは難しいものの、綺麗な真円や半円の真珠が多く流通しているのは、御木本幸吉らの努力あってのものなのですね。
それでは、養殖真珠の代表的なものを種類別でいくつかご紹介しましょう。
アコヤ真珠
アコヤ真珠はアコヤ貝を母貝とする真珠で、ホワイト、クリーム、イエロー、ゴールド、グレーの色をしたものがあります。
大きさは、径6〜7mmが標準的で、径8mm以上は大きいといわれています。
稀に径11mmほどにもなる特大サイズのものも見かけますよ。
市場に出回る最も一般的な真珠がアコヤ真珠です。
白蝶真珠
白蝶真珠はシロチョウ貝を母貝とし、「南洋真珠」と呼ばれることもあります。
シルバー、ライトイエロー、ゴールドなどの色があり、サイズはアコヤ真珠よりも大きく径9mm〜18mm程度、それ以上の大きさになることもあります。
サイズが大きくなるほど希少で高価です。
ゴールドの白蝶真珠は、色が濃いほど高価になりますが、染色されていることも多いのでご注意ください。
黒蝶真珠
黒蝶真珠の母貝はクロチョウ貝で、色はブラック、グレーなどがあります。
大きさは、10mm以上になるものが多いです。
マベ真珠
マベ真珠はマベ貝の中で生成します。
半円状の形になるため、加工して裏側を貝殻で蓋をするような形になります。
マベ真珠は養殖するときに貝殻につける核の形によって、オーバルにもラウンドにもペアシェイプ型にもなるんですよ!
淡水真珠
淡水真珠は、イケチョウ貝やカラス貝などの淡水に生息する貝を母貝とする真珠です。
楕円形やボタン型、ケシ型、米型など様々な形のものがあります。
淡水真珠は、他の真珠と比べて安価なものが多い印象です。
天然真珠
人の手が加えられることなく自然の中でできあがった天然真珠。
養殖真珠より個性のある形が生まれやすいのも特徴のひとつです。
前述したように、真珠は貝が体内に入った異物から身を守るために作り出すものです。
逆に言えば、異物が入らなければ作り出されず大きさなども様々なため、宝石品質の天然真珠は少なく、希少価値が上がります。
さらに、乱獲や環境破壊などによって母貝の数自体が減ってしまった種類もあり、希少性の高さから非常に高価な価格で取引されています。
コンクパール
コンクパールは、カリブ海に生息する巻き貝の一種であるコンク貝(ピンク貝)から採取されます。
濃いピンク色をしていて、炎が燃え盛っているかのような火焔模様が表面に現れるという特徴があります。
火焔模様がはっきり見えるほど価値が上がります。
巻き貝からできる真珠は養殖が難しいとされ、貴重な天然真珠のひとつです。
しかし乱獲などで母貝の数が減ってしまったことから希少価値高く扱われます。
食用の貝を採るときに偶然発見されることも多いようですよ。
▽カラッツSTOREのコンクパール▽ |
▼コンクパールについてはこちらの記事で詳しくご紹介しています
メロパール
メロパールは、南シナ海に生息するハルカゼヤシ貝から採取されます。
淡いオレンジカラーと火焔模様が魅力的な真珠です。
ハルカゼヤシ貝もコンク貝と同様に巻き貝です。
養殖が難しく、偶然発見されなければ手にすることができないため、希少性が大変高くなっています。
真珠(パール)の色
ここまで真珠の種類について紹介してきましたが、真珠は母貝の種類によっても色が異なります。
また、母貝が同じであっても様々な色があります。
そもそも真珠の色というのは、真珠層を構成するタンパク質の色素や核の色などによって変わります。
そして、真珠は特有の光沢感をもちます。
真珠層に入った光の作用などによって生まれるものなのですが、これら真珠特有の光沢感のことを業者間では「テリ」と呼びます。
この「テリ」が真珠の美しさを評価する際にとても重要な要素となります。
真珠の色がどんな色であるとしても、「テリ」は大体ピンクかグリーン系の色をしています。
どちらの色が良いというわけではありませんが、真珠のネックレスなどを購入するときは、「テリ」の色が揃っているものを選ぶと真珠の美しさが際立つのでおすすめです!
真珠にはどんな色があるのかいくつかご紹介しますね。
ホワイト・クリーム
アコヤ真珠や白蝶真珠、淡水真珠など多くの真珠がホワイトやクリームの色をしています。
大半の真珠はキレイな色にするために漂白や調色(わずかな染色)が行われていますが、中には無調色の真珠もあります。
ブラック
ブラックの真珠は、主に黒蝶真珠です。
まれにアコヤ真珠など黒蝶真珠以外のものも見かけますが、多くは染色処理をされたものです。
黒蝶真珠でブラックの地色にグリーンのテリが見られるものは「ピーコックカラー」と呼ばれ、高く評価されています。
イエロー・ゴールド
イエローやゴールドの色は、アコヤ真珠や白蝶真珠、淡水真珠などにあります。
白蝶真珠のゴールドカラーは主にゴールドリップと呼ばれ、華やかで大きさもあるため、ゴージャスな雰囲気を好む方に人気があるんですよ!
真珠(パール)の産地
画像:英虞湾(あごわん)
次は、真珠の産地についてです。
こちらも天然と養殖に分けてご紹介しますね。
天然真珠の産地
天然真珠の主な産地は、バーレーン(ペルシャ湾)、スリランカ(マナール湾)、オーストラリア、メキシコ、アメリカなどです。
養殖真珠の産地
1893年に御木本幸吉が半円真珠の養殖に成功して以降、養殖技術は発達し世界中に真珠の養殖場ができました。
養殖場それぞれの気候で育つ貝が異なるため、できる真珠もまた違います。
真珠の種類別に主な産地をご紹介します。
アコヤ真珠の産地
日本や韓国、中国、ベトナムなどでアコヤ真珠の養殖は行われています。
真珠養殖の道を切り開いた日本が、今でもアコヤ真珠の主要な産地となっているのですね。
日本の南西海域である愛媛県や長崎県、三重県に主要な養殖場があります。
三重県には、ミキモト真珠島という御木本幸吉が真珠の養殖に成功した島があり、真珠のことを詳しく知れる観光スポットにもなっているんですよ!
白蝶真珠の産地
オーストラリア、インドネシア、ミャンマー、フィリピン、マレーシアなどで白蝶真珠は養殖されています。
白蝶真珠は「南洋真珠」とも呼ばれますが、その理由は、南洋地域で生産されるためなのだそうです。
黒蝶真珠の産地
黒蝶真珠は、フランス領ポリネシア諸島周辺の海域で養殖されています。
特にタヒチが有名ですね。
そのため、黒蝶真珠のことを「タヒチパール」と呼ぶこともあります。
淡水真珠の産地
淡水真珠は世界の多くの川や池、湖などで養殖されていますが、最大の生産地は中国です。
日本国内では茨城県の霞ヶ浦や滋賀県の琵琶湖の養殖が有名です。
琵琶湖での養殖は様々な原因により一時期衰退していましたが、現在は少しずつ生産量も戻りつつあるようです。
日本の淡水真珠は、真珠層の「巻き」が厚く「テリ」もよく、品質の高さが評価されています。
これから日本の真珠がもっと気軽に手に入るようになったら嬉しいですね。
最後に
いかがでしたでしょうか?今回は、真珠について詳しくご紹介しました。
真珠は種類や色、形、大きさなどいろいろあり、真珠を使ったジュエリーのデザインにも多くの可能性があります。
それぞれの真珠の良さを生かしたデザイン性の高いものや、普段使いから冠婚葬祭まで幅広く使えるものなど様々で、真珠には身につける人を夢中にさせる力があると個人的に感じています。
今回の記事で、大好きな真珠の魅力を少しでもお伝えできていれば嬉しいです。
カラッツ編集部 監修
<この記事の主な参考書籍・参考サイト>
◆『有名石から超希少石まで美しい写真でよくわかる 宝石図鑑』
著者:KARATZ 監修:小山慶一郎/発行:日本文芸社
◆『起源がわかる宝石大全』
著者:諏訪恭一、門馬綱一、西本昌司、宮脇律郎/発行:ナツメ社
◆『アヒマディ博士の宝石学』
著者:阿衣アヒマディ/発行:アーク出版
◆『ネイチャーガイド・シリーズ 宝石』
著者:ロナルド・ルイス・ボネウィッツ 訳:伊藤伸子/発行:科学同人
◆『世界を魅了する 美しい宝石図鑑』
著者:ジュディス・クロエ 日本語版監修:石橋隆/発行:創元社 ほか