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香り高き木のしずくの化石、コーパルとは?

コーパル ルース

世界には、お香にもなっている宝石があるそうですが、ご存じでしょうか。

それは「コーパル」という宝石です。

コーパル(Copal)は、若い樹脂の化石のことを指します。

宝石に明るい人であれば、樹脂の化石といえば琥珀を思い浮かべる方も多いのではないかと思いますが、琥珀とコーパルは同じ樹脂の化石でありながら少し異なります。

琥珀とは違った魅力をもち、お香にもなっている宝石コーパルの魅力を探ってまいりましょう!

コーパルの特徴

コーパル ルース
コーパルは、簡単にいうと半化石化した樹脂です。

色はレモンイエローから橙色をしており、引っかいた時の硬度の基準を表すモース硬度は2~2.5傷がつきやすい宝石でもあります。

若い化石なので表面から劣化しやすく油分が出て少しベトついてしまう特徴もありますが、良い香りがするため古くから香料などに使われることも多かったといわれています。

ではもう少しコーパルの特徴を深掘りしてまいりましょう。

鉱物としての基本情報

結晶系 非晶質
モース硬度 2~2.5
比重 1.03~1.08
屈折率 1.54
光沢 樹脂光沢

コーパルができるまで

樹脂 しずく

前述したとおり、コーパルは樹脂が半化石化してできた宝石です。

元になる樹木は様々ですが、樹木から浸み出た樹液が固まった、「樹脂」が長い時を経てやがてコーパルになるという訳です。

できる場所もさまざまで、地中に埋まったもの樹木の中にできるもの地層の中にできるものなどがあります。

コーパルはいわば琥珀(アンバー)になる前の若い化石のようなものです。

つまり、コーパルの状態から更に時間が経つと、琥珀(アンバー)になるのです。

半化石状態の琥珀」ともいえることから、琥珀の一種に分けられることもあるそうです。

名前の意味

コーパル」の名前は、メキシコ中央部に栄えたメソアメリカの国家“アステカ帝国”の言語、ナワトル語で「樹脂」を意味する「コパリ(Copalli)」に由来するといわれています。

コパリには「よい香りのする香料」という意味があるという説もあり、古くから南米では香料としても用いられてきたそうです。

また、学名を「ヒメナエアコーパル」(Hymenaea courbaril)というそうですが、「ヒメナエア」というのは、ギリシア神話に登場する婚姻の神「ヒュメナイオス」が元になっているのだそうです。

産地と歴史

コーパルの主な産地メキシコ、タンザニアで、そのほかにもブラジル、中国、ニュージーランドなどで採れるといわれています。

歴史的には大変古く、メソアメリカのマヤ文明などで神への供物として用いられていたと言い伝えられています。

19世紀から20世紀にかけてのヨーロッパでは天然のニスの原料としても用いられていたそうです。

コーパルの香り

コーパル

南米では、コーパルは古来より儀式や瞑想に使うお香として用いられていたという言い伝えがあります。

メキシコの原住民は、死者を迎えるためのお祭りでコーパルを焚くといいます。

コーパルの香りは、さわやかでスパイシーな香りを含み、ほかの精油とブレンドすることにも適しているそうです。

コーパルの原石の形

コーパル

コーパルの原石には色々な形があります。

木肌の模様がそのまま残っているもの、虫や植物、動植物を閉じ込めているもの、滴り落ちた樹脂が盛り上がってそのまま固まったものなどで、琥珀(アンバー)に比べ色が淡いものが多いようです。

コーパルと琥珀の違い

アンバー 琥珀

前述したとおり、コーパルは琥珀になる前の、半化石化した樹脂です。では具体的に何が違うのか説明していきますね。

できるまでの時間の長さ

コーパルと琥珀の一番大きな違いは、できるまでの年月の違いです。

樹脂が琥珀になるまでの期間は、諸説ありますが、大体数百万年から数千万年位といわれています。

それに比べコーパルは10万年から一千万年程度といわれています。※こちらも諸説あるようです。

環境

最近の研究によると、樹脂が琥珀になるまでの条件は、時間の長さのほか、地層の成分温度圧力の関係が重要であるといわれているそうです。

分別の付きにくいコーパルも

地中に埋まってできたコーパルは、琥珀に似た耐久性があり、琥珀と区別がつきにくいといわれています。

また地中深くにできたコーパルは「亜化石」のコーパルとも呼ばれ、ニス、インク、リノリウムの原料になるそうです。

価値について

琥珀よりも短い期間で生成されるコーパルは、産出量が多いこともあってか、琥珀よりも安価で取引されることが多いとされます。

耐久性のあるものは琥珀の代用品として用いられることもあるそうです。

最後に

コーパル

コーパルは「宝石」と呼ぶにはやわらかすぎる石なのですが、比較的耐久性があり研磨に耐えうるものについては、ネックレスやペンダントトップに加工されることも多いといわれています。良い香りのするジュエリー、とても素敵ですね。

ジュエリーとして身につけるほか、原石を観賞する、キットを購入してコーパルを磨く、採取するなどといった楽しみ方もあります。

石の色、形から香りまで楽しめるコーパル。機会があれば、ぜひお手に取ってみてくださいね。

カラッツ編集部 監修