つるんと光沢を放つ美しい宝石、真珠。冠婚葬祭に広く使えることから、女性ならいつか大人になったら本物の真珠を身につけたいと願う人も多いでしょう。母親から娘へ受け継がれることもありますよね。本物の真珠を身につけた日の感動は今もしっかり覚えています。
真珠は貝から生まれる宝石であったり、6月の誕生石になっていることはよく知られています。それでは、実際にどうやって貝の中で育つのでしょうか。貝のなかから何故、あんなにきれいな宝石が生まれるのでしょう?
また日本で真珠の養殖が盛んなことはご存知の方も多いと思いますが、実際にどの県で生産量が多いかはご存知でしょうか。
貝から生まれる不思議な宝石「真珠」について色々調べてみました。
目次
日本で真珠を養殖している県TOP3
現在市場に流通している真珠のほとんどは養殖されたものになります。日本では、真珠の養殖が行われているのは限られた地域のみとなり、生産量トップ3の県のものが全体のほとんどを占めています。
それでは、その気になる真珠の養殖生産量(2016年)のトップ3をランキング形式でご紹介しましょう。
第一位:愛媛県
第一位は愛媛県で年間約7.6t!
実は現在の日本では愛媛県で養殖された真珠が全体の約4割弱を占めています。
2009年頃までは長崎県と毎年競っていたようですが、ここ10年位は愛媛県が安定した生産量を保ち、ずっと生産量一位をキープしているようです。主な生産地は宇和島市など宇和海沿岸地域。
第二位:長崎県
第二位は長崎県です。長崎産で養殖される真珠もかなりの割合を占め、2016年の生産量は約7.1t。
2004年頃までは、年間生産量10t以上とダントツの生産量を誇った長崎県。前述したとおり2009年頃までは一位の愛媛県と毎年生産高一位を競い合うほどでしたが、その後徐々に生産量が減っていき、今では毎年大体6.7t~7t前後位の生産量となります。
第三位:三重県
真珠養殖の発祥の地として知られる三重県はなんと第三位。2016年の生産量は約4.2tでした。
三重県と言えば、明治26年に御木本幸吉がアコヤ貝による養殖法を発明。以来日本における真珠養殖の発祥の地として英虞湾を中心に発展してきました。真珠の生産地と言えば三重県を連想するのはそのせいかもしれませんね。
この他にも熊本県、佐賀県、大分県でも生産され、2016年の全国での生産量は約19.8tでした。その内の約9割以上を愛媛県、長崎県、三重県の3県で占めているということですから、日本の真珠養殖産業はこの3県に支えられていると言っても過言ではないですね。
※参考資料
▶農林水産省 海面漁業生産統計調査
真珠はどうやって作られるの?
日本における真珠の養殖生産量を大体お分かりいただいたところで、それでは、そもそも真珠は実際にどうやって貝の中で作られ、養殖されているのかをお話していきましょう。調べてみると、想像以上の手間や労力がかかっていることが分かりました。
真珠が養殖される貝
真珠の養殖には、二枚貝が使われます。十万種を越えると言われる二枚貝の中で、真珠を作ることができ養殖に使われているのは、わずか6種類。日本での養殖では、ほとんどアコヤ貝が使われています。
真珠の養殖に使うアコヤ貝は、人工交配により生まれ、養殖業者の手に渡るときの大きさはわずか1mmだそうです。ここから、丁寧に育てられていくんですね。
真珠の養殖に重要な役割を果たす器官
真珠の養殖にとても重要な役割を果たすのは、外套膜と呼ばれる器官です。外套膜は普段、アコヤ貝の呼吸や餌をとりこむために必要な海水の量を調整する役割を果たしています。
真珠の養殖過程には、手術があります。その手術はとても高度な技術で、アコヤ貝の内蔵部分に切開口を作って、生殖腺に外套膜の破片と真珠の核になるものを送り込みます。
こうして移植された核を外套膜の破片が包み込んで、真珠袋が作られます。そこから、真珠質という物質が分泌されて真珠が作られていくんです。
どれくらいの期間で真珠は作られるの?
真珠の養殖に必要な手術を終えてから、約6か月~24か月を経て収穫されます。この期間、海の中で安静な状態を保たせます。そうすると、カルシウムの結晶の層をいくつも重ねて真珠は大きくなっていきます。
真珠1mmあたり、カルシウムの結晶の膜は2,500枚にも及ぶのだとか。すごい数ですね!
しかし、全ての真珠が商品として使えるわけではありません。手術したアコヤ貝のうち、約半数は死んでしまうそうです。商品価値のある真珠は、全体の30%に満たないため、とても貴重なものだということが分かりますね。
真珠の養殖には、たくさんの手間がかかっている!
真珠が養殖され、商品として流通するまでには、たくさんの手間がかかっていることが分かりました。養殖業者のかたは、とても小さなアコヤ貝の赤ちゃんから大切に育てているんですね。季節や貝の成長過程により、漁場のコンディションも変えているそうです。
稚貝の養殖を始めてから水揚げまでに約4年程の歳月が掛かると言いますからそれはそれは手が掛かっていると言えますね。
養殖といえど、生物の力を必要とする真珠は、環境の変化などにより生産量が変わりかねない宝石です。こう考えると、自分の中で真珠の価値がさらに高まった気がしますが、みなさんはいかがでしょうか?
紀元前より富や地位の象徴として大切にされてきた真珠、その美しさに虜になった人も数知れません。日本国内では限られた地域でしか養殖されている真珠をぜひ大切にしたいですね。
カラッツ編集部 監修