珊瑚(サンゴ)と聞いて思い浮かべるのは
・かんざし
・おばちゃんのネックレス
うーん。。。サンゴって何となく古風なイメージがありますね。
そうそう、昔、桃太郎が鬼ヶ島から持ちかえった宝石が、サンゴでしたっけ。
しかしサンゴは古くから日本で愛され続けた宝石。日本でも獲れます。その魅力を全力でお伝えしましょう!
珊瑚(サンゴ)は植物でも鉱物でもありません
珊瑚は「花虫」というとても小さな生物(サンゴ虫)が、ポリプと呼ばれる群体を作ってあの硬さを形成しています。
珊瑚の主成分は真珠の外皮の部分と同じ炭酸カルシウム。深い海の底で、水の流れにたゆたうように少しづつ成長して出来上がります。
大昔、珊瑚の産地は地中海。日本にはシルクロードを経由して、中国から持ち込まれたと言われています。
日本での珊瑚の歴史は古く、赤サンゴは「胡渡」と呼ばれ、珍重されたと奈良時代の文献に遺されています。
珊瑚(サンゴ)の種類
珊瑚の中でも特別に宝石となるのが「八方サンゴ」という仲間に分類される
・アカサンゴ
・モモイロサンゴ
・シロサンゴ
・ベニサンゴ
です。これらは「貴重珊瑚」とも呼ばれ、ほかの珊瑚と別格扱いとなっています。珊瑚の骨格を作っているのはカルサイトという物質。
もともと珊瑚には色は付いていません。
赤やピンクの珊瑚はタンパク質に含まれるカロチノイドと呼ばれる色素や鉄分が含まれているから。
この他にもブラックコーラルと呼ばれる真っ黒なサンゴもあります。
このブラックコーラルはウミカラマツという生物が作った珊瑚です。
アクセサリーやビーズに使われているのはイソバナと呼ばれるサンゴ。ピンクオレンジのような色をしています。
また、白いサンゴでトクサという植物に形が似ているトクサヤギは別名竹サンゴといいます。キンヤギという金色のサンゴもあります。
珊瑚(サンゴ)が採取される場所と歴史
宝石になる八方サンゴは、主に地中海、日本、台湾の沖合、ハワイ・ミッドウェー島沖の3つの地域で採取されます。
採取される場所によって珊瑚の原木の大きさも、色や品質も大きく変わります。1868年には珊瑚礁が解禁となり、20世紀に入るとイタリアのサンゴビジネスの中心地であるトレ・デ・グレコへの輸出が盛んになりました。
ヨーロッパでは、中世の頃からサンゴは宗教に関わる装飾品やロザリオなどに使われています。
ちなみにワシントン条約で採取が規制されているのは六方サンゴという珊瑚で、珊瑚礁を作っているのがこの珊瑚です。ジュエリーの素材になるサンゴとは別物なので安心してくださいね。
品質の良い珊瑚(サンゴ)の見分け方
サンゴの品質は、形、色ムラ、虫食いの有無で選別されます。色の濃淡は個人の好き好きですが、最高品質と呼ばれるサンゴは真っ赤なサンゴで「血赤サンゴ」と呼ばれるもの。
サンゴはよくみるとスジのような文様が入っていますが、血赤サンゴは文様も色ムラもなく、本当に血に浸けたようなとろりとした艶があります。。。
しかしヨーロッパでは、ピンク色のサンゴも人気があります。スコットランドには、サンゴは
「少女に美と繁栄をもたらす」
という言い伝えがあり、イギリスのエリザベス2世は生後9ヶ月のときにピンクのサンゴのネックレスを贈られています。
エリザベス2世の少女時代の写真には、このピンクのサンゴのネックレスを身につけた写真がよく見られるそうですよ。
珊瑚(サンゴ)を身につけるときの注意点
生き物から作られる宝石、サンゴ。サンゴは真珠同様、汗に弱い宝石です。
またサンゴは有機質で、酸にも弱いため汗以外にも酸性のものには触れさせないように注意して下さいね。
ではサンゴはどれくらい酸に弱いのか?という実験で、サンゴをレモン汁に浸けてみたところ、たったの2時間で表面が1ミリ溶けて艶が全くなくなったそうです。
サンゴはできれば肌に直接つけるのではなく、衣類の上から身につけたほうが安心な宝石なのかも知れませんね。
最後に
海の中の微生物によって作られた宝石、サンゴ。しかし山サンゴ、と呼ばれるサンゴも市場でたまに見かけます。
あれ、サンゴって山でも取れるの?と思って調べたところ、山サンゴの正体はトクサヤギなど、白やクリーム色の珊瑚を着色して作ったもの。
インドからチベットに仏教を伝えた僧侶がサンゴで作った数珠を使っていたため、それを模倣するために山中にあった化石のサンゴや大理石を着色して作ったのが山サンゴである、という説もあります。
なるほど。サンゴは何となく宗教要素の強い宝石。なんだか持っていると良いことがありそうな気がしませんか?
カラッツ編集部 監修