ほんのり紫がかったライラックピンクが美しい宝石、クンツァイト。
愛らしい色合いで女性にも人気が高く、大粒でも比較的手が出しやすい価格帯なので、宝石初心者の方にもおすすめです。
今回はクンツァイトの特徴や魅力とともに扱い方までお話ししたいと思います!
クンツァイトの特徴
ピンクといえば、クンツァイト!という方も多いほど、ライラックピンクが美しいクンツァイト。
1902年、アメリカのカリフォルニアの鉱山にて、ジェムストーンの命名者として有名なジョージ・フレデリック・クンツが発見したことから、彼の名前がクンツァイトの由来となっています。
別名「カリフォルニア アイリス」と呼ばれることもありますが、これは発見地と合わせて、アイリス(あやめ)の花の色に似ていることから名付けられました。
スポジュミン(リチア輝石)という鉱物の一変種で、スポジュミンの中でもピンクカラーは「クンツァイト」、グリーンカラーを「ヒデナイト」、イエローカラーを「トリフェーン」と言います。
暗い部屋でも輝く「燐光性」
「燐光性」とは、ダイヤモンドのように太陽の光を当てた後、暗い部屋へ持ち込むときらきらと光を放つというもの。
オレンジのろうそくの光や白熱光の下で、ライラックピンクやフューシャピンク、ペールピンクなどの色合いが最大限に引き出されると言われ、夜会やイブニングドレスに映えることからクンツァイトは「夕べの宝石」ともいわれています。
角度によって色が変わる「多色性」
見る角度によって透明に見えたり、濃いピンクに見えたり、見える色が変わることを「多色性」といいます。
こちらは正面から見たクンツァイト。
横から見ると透き通ったように色が薄く見えるのがわかりますか?
このように同じクンツァイトで違った色が楽しめるのが「多色性」の特徴です。
タンザナイトにもこの特徴があり、見る角度で色合いが異なる宝石です。
多くは表面(テーブル面)から見える色が一番美しくなるよう、ファセットカットが施されたり、結晶体の軸に対して垂直にカットして美しい色が楽しめるよう、ステップカットに研磨されたりします。
紫外線で退色してしまう色
クンツァイトの美しいピンクカラーは、紫外線に当てると退色してしまいます。
先述した燐光性を実際のクンツァイトで試そうとすると、太陽の光の元にさらすこととなり、退色してしまう恐れがあるので注意が必要です。
いつまでも美しいピンクカラーを維持するためには、保管方法は冷暗所にて保管することが望ましいです。
カッター泣かせの宝石
クンツァイトは宝石としても十分な硬度なのですが、ある特定した方向に割れやすい性質、「へき開」が二方向に完全という性質のため、割れやすくもろい宝石です。
研磨作業中に少しの衝撃で割れたり欠けたりすることから「カッター(研磨職人)泣かせの宝石」として有名です。
クンツァイトの産地
クンツァイトには、多くの産出地が存在します。
- アメリカ:サウスダコタ、ノースカロライナ、カリフォルニア
- カナダ:ケベック
- ブラジル
- マダガスカル
- アフガニスタン
- メキシコ
- ロシア
- パキスタン
- スウェーデン
- オーストラリア
- ナイジェリア
処理と価値は無関係
クンツァイトには、無処理のものはもちろん、加熱処理、放射線照射されたものがありますが、どれも通常処理の範囲内とされ、殆どの場合価値に差がありません。
特に放射線照射は近年増えてきていて、ピンクを濃くしたものが出回っていますが、無処理のクンツァイトと見分けを付けることが出来ないので、トレーサビリティ(追跡可能性)と言われる「いつ、どこで、だれによって処理されたか」が追跡できるものがあるものは別として、基本的に人工着色物と判定されています。
クンツァイトのお手入れ方法
割れやすい性質がありますので、お手入れの際にも細心の注意が必要です。
普段のお手入れは柔らかいセーム革などで、優しく皮脂をふき取りましょう。
それでも汚れが落ちず、水での洗浄を必要とする場合は35度以下のぬるま湯をボールなどにはり、中性洗剤を少量溶かし柔らかいブラシで優しく擦るようにします。
漬け置きはせず、水分は完全にふき取るようにしましょう。
流水や超音波洗浄などは割れや欠けの恐れがあるので、避けてください。
最後に
大人っぽい落ち着きを見せる紫がかったピンクカラーが美しいクンツァイト。
光の違いなどによって違ったピンクの魅力を見せてくれる、ロマンティックな宝石です。
クンツァイトというとジャクリーヌ・ケネディが夫ケネディ大統領から最後に送られた宝石としても有名で、身に着けるだけで気品すら感じさせる魅力を放ってくれます。
20世紀に発見された比較的新しい宝石クンツァイトの魅力、少しでも伝わったでしょうか?
是非とも一度手にしてクンツァイトの魅力を楽しんでいただけたら嬉しいです♪
また、ピンク色の宝石はクンツァイト以外にもたくさんあります。
カラッツ編集部 監修