宝石に明るい方なら、「タンザナイト」と聞いて、美しいブルーカラーをもったブルーゾイサイトを思い浮かべると思います。
しかし最近ときどき「ピンクタンザナイト」という名前で売られている宝石を目にすることがあります。
ブルーのゾイサイトがタンザナイトなのにピンクのタンザナイトって?、と詳しい方ほど混乱しそうな感じですよね。
実はこの「ピンクタンザナイト」として売られているこの宝石の正体は「ピンクゾイサイト」。
本日はこの石についてお話ししたいと思います。
ピンクタンザナイトの正体はピンクゾイサイト
ほんのりパープルが感じられるピンクの宝石。
「ピンクタンザナイト」として売られているこの宝石の正体は「ピンクゾイサイト」です。
鉱物種はゾイサイト。タンザナイトと同じですね。
ピンクゾイサイトもタンザナイトと同様に、“見る角度によって違った色が楽しめる”多色性をもちます。
色の濃いものほど混じり合う色合いがとても華やかに見え、それもピンクゾイサイトの魅力の一つといえるでしょう。
ピンクゾイサイトの産地
タンザニア、ノルウェーなど。
ピンクゾイサイトの色
ピンクを中心にライラック、パープルなどがあります。
多くはピンクをベースにライラックやパープルが交じり合うように発色しています。
ピンクゾイサイトとタンザナイトの関係
では、ピンクゾイサイトがなぜピンクタンザナイトという名前で売られていることがあるのでしょうか。
そもそもタンザナイトというのは、元々ブルーゾイサイトと呼ばれていた宝石を、ティファニー社が主要生産地のタンザニアにちなんで「タンザナイト」と命名し、売り出したことがきっかけで広まった名前です。
ティファニー社の戦略が当たり人気が出て、いつしかコマーシャルネームとして定着した「タンザナイト」は、ついには2018年、日本の鑑別団体協議会(AGL)で宝石名として認められました。
恐らくこのことも関連し、「ゾイサイト」よりも人気と知名度が高い「タンザナイト」という名前を付けた方が消費者がイメージしやすい、売りやすいという理由から、いつしか「ピンクタンザナイト」という名前が世に広まったとみられています。
そう、「ピンクタンザナイト」は、「ピンクゾイサイト」のコマーシャルネームなのです。
正式名ではないため、鑑別書にはピンクゾイサイトと記載されます。
これはあくまでも個人的な意見ではありますが、元々ゾイサイトとタンザナイトは同じ鉱物なので、ピンクゾイサイトがタンザナイトの色違いという意味で「ピンクタンザナイト」と呼ばれるのは全くの間違いのような気はしません。
しかもゾイサイトの中でも希少価値の高いタンザナイトよりも更に稀少性が高いピンクゾイサイトですから、「ピンクタンザナイト」でもいいのかな、と思いますが皆さんはいかがでしょうか。
▶タンザナイトとゾイサイトの違いをもっと詳しく知りたい方はこちらの記事もどうぞ!
ピンクゾイサイトの価値
レアストーンとしても名高いピンクゾイサイトは、希少石として扱われるタンザナイトよりもさらに産出量が少ないことから、同じ大きさのタンザナイトより数倍の価格で取引されることもあるといいます。
しかも一般市場では、2ctを超えるピンクゾイサイトは殆ど出回っていないとか。
また、ブルーカラーのタンザナイトの殆どが加熱処理を施され、色合いを調整されているのに対し、ピンクゾイサイトは通常、非加熱で未処理のものが多いといわれています。
天然の色合いの美しさが楽しめる宝石であることも、価値が高く評価されている要因の一つなのかもしれませんね。
しかしタンザナイトが発見されるまで、ゾイサイトには宝石としての価値がほとんどなく、飾り石程度の扱いであったことから考えると、ブルーとピンクだけが飛びぬけて高い評価を受けていることになります。
ゾイサイトは色によって価値の差が激しい宝石であるといえるかもしれません。
タンザナイトの価値や相場が気になる方はこちらの記事もどうぞ!
▶吸い込まれそうな青色の宝石タンザナイト。価値や相場、選び方のポイントってあるの?
ピンクゾイサイトの価格相場
カラッツSTOREでも過去にピンクゾイサイトを取り扱ったことがありますので、当時の価格も含め一部ご紹介しましょう。
たとえば、こちらのルースは0.229ctで¥17,800(税込)
またこちらのルースは0.247ctで¥16,800(税込)でした。※いずれも現在は販売終了しております。
ピンクゾイサイトの価格は大体ガイ(1ctあたりの値段)で10,000円~200,000円程度で販売されることが多いようです。
※色、透明度、大きさ、カットなどによって価格が変わります。
最後に
優しいピンクやライラックカラーが美しい、ピンクゾイサイト。
明るいピンクから濃いピンクやパープルカラーが同時に確認することもでき、華やかで愛らしい宝石ですので、ロマンティックな装いにもぴったりだと思います♪
見かけることがあったらぜひ注目して見て下さいね。
カラッツ編集部 監修