宝石に魅了され、JBS宝石・ジュエリー鑑別鑑定士の資格をとったのち、神戸のジュエリー卸会社に入社。その後ジュエリーコーティネーター2級、ジュエリーリモデルカウンセラー2級を取得。少しでも多くの方に宝石の楽しさ、ジュエリーの素晴らしさを感じていただけたら嬉しいです。
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「使わなくなったジュエリーを売りたい」
しまいっぱなしになっているジュエリーを見てそんなふうに思ったことはありませんか?
ジュエリーは長く愛用できるものですが、ライフスタイルや流行、趣味などが変わり、持っていたジュエリーが合わなくなってしまうこともありますよね。
家族や友人にプレゼントするのも良いですが、買取に出すのも一つの方法です。
もしジュエリーを売るとしたら、どれくらいの価格になるのでしょうか。
K18(18金)、40cmのネックレスを例に具体的な買取相場と金の買取価格の決まり方、純度、買取業者を選ぶポイントについてまとめてみました。
目次
金の買取価格はどう決まる?
そもそも金の買取価格はどのように決まるのか、ここからお話していきますね。
買取価格は「地金の買取価格」×「製品の重量」で決まります。
買取価格の相場については、貴金属の取り扱いのある会社のWebサイトなどで調べることができます。
カラオク(KARATZプロオークション)でも日々更新していますのでチェックしてみて下さい。
1g当たりの金相場がすぐ確認できますよ。
地金の価格は一定ではなく、世界情勢や経済動向に影響を受けて毎日変化しています。
株や為替をイメージしていただけるとより分かりやすいかもしれません。
金よりもプラチナの方が高かった時代もありますが、2015年以降は金価格の方が全般的に高く徐々に差が出ているようです。
20年前、2002年度の金の平均価格は1,296円/gですが、2023年の平均価格は8,834円/gとおおよそ7倍にもなっているんですよ。
現在(2025年8月時点)では17,000円台とさらに値上がりが続いています。
金の純度とは?
金の純度とは、金が含まれる割合のことを指します。
ジュエリーや金製品に刻印された「K24」、「K18」などの表記をご覧になったことはありませんか?
これらはすべて金の純度を表しています。
Kは金の単位であるカラット(karat)を意味し、その後に続く数字が金の割合を指します。
金を含む割合はKのあとに24分率で表記されます。
例えば、「K24」は24金という意味で、純度ほぼ100%(純金)です。
そこから数字が少なくなっていくほど金の純度が下がっていきます。
ジュエリーで多い「K18(18金)」は金が24分の18という意味で、約75%が金、残りの25%が別の金属ということを表しています。
ジュエリーなどの金製品は、純度100%だと柔らかすぎて変形や傷の原因となるため、割金(わりがね)として別の金属を混ぜて強度を上げて使用することが一般的です。インゴッド(金の延べ棒)は通常純度100%です。
カラットと言うと、宝石の重さを表わす際に使用されるcaratと音が同じため混乱されるかもしれませんが、意味も使い方も異なります。
金の純度は買取価格に影響する?
金の純度は買取価格を決める上で重要なポイントとなります。
ジュエリーがどれだけ重くても、金の純度が低ければ買取価格は下がります。
例えば、同じ10gの金の指輪が2つあったとします。
一つはK24(24金)、もう一つはK18(18金)です。
K24は10g全てが金ですが、K18の金の含有量は75%、つまり7.5gです。
買取してもらえるのは金の重量分だけで、合金部分は入りませんのでK18よりも金が2.5g多いK24の方が買取価格が高くなるという訳ですね。
以下は刻印と純度の一覧表です。
比較してみると、純度に差があることがお分かりになるかと思います。
金の割合は24分率以外にも「999」「750」など1000分率が使われることもあります。
刻印・表記 | 金の純度 |
K24、999、純金、足金 | 100% |
K22、916 | 91.6% |
K18、750 | 75% |
K14、585 | 58.5% |
K10、416 | 41.6% |
表記の仕方・刻印の種類は「Au◯◯◯」や「◯◯KP」など、他にもあります。
刻印の意味がわからない場合や刻印がないものであっても大丈夫、買取専門店は純度を測る特殊な機械を持っていることが多いので査定の時に確認してくれますよ。
▼貴金属の刻印について詳しくはこちらの記事で
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金の価格の計算方法
それではK18(18金)40cmネックレスを例に実際に計算してみましょう。
ネックレスの重量が5g、金の日次価格を16,000円/gとします。
金の日次価格は純金の価格なので、まずはK18(純度75%)の金価格を導き出します。
16,000円×75%=12,000円
買取価格は「地金の買取価格×製品の重量」となりますから
12,000円×5g=60,000円
ネックレスの買取価格は60,000円となります。
買取専門店などではここから手数料などが差し引かれる場合もありますが、査定に出す前に自分でおおよその価格を計算しておくと目安が分かって良いと思います。
買取業者を選ぶ時のポイント
貴金属を買い取ってくれる業者は沢山ありますが、どんなお店に持っていけば良いのでしょうか。
初めて行くところだと少し緊張してしまいますし、出来るだけ良い価格で買い取ってもらいたいですよね。
個人店やあまり有名でないお店でも、信頼ある買取で地域に根付いている優良店も多いです。
買取業者を選ぶポイントをいくつかご紹介します。
基本情報をチェック
まずはホームページでお店の情報を確認しましょう。
実店舗の場所、古物営業法に基づく古物商の許可を得ているか、買取の方法、実績などが明確で分かりやすく載っているでしょうか。
その日の貴金属の買取相場を載せている会社もありますし、どんな人が買取をしてくれるのか、鑑定士のプロフィールなどを載せている場合もありますね。
見積もり無料、〇〇グラム以上買取で買取額UPなどお店によって独自のサービスを行っているかもチェックしておきましょう。
買取方法、手数料
今までは買取してもらうにはお店に足を運ぶしか方法がありませんでしたが、現在は宅配買取や出張買取など、お店に行かなくても買取してもらえるサービスを行っているお店が増えました。
他にもLINE査定のように、写真と商品内容を送信するだけで大まかな査定をしてくれるところもあります。
もちろん店舗に持っていき直接査定してもらった方が直接交渉が出来たり安心感があるかもしれません。
ただ、いきなりお店に行くのが不安な方やお試しで査定してもらいたいという方にはLINE査定やWeb査定がオススメです。
この時の送料はどちらが負担するかなどをホームページに明記しているお店は安心できますね。
問い合わせた時の返信が丁寧で早いかどうかも、お客さんを大切にしているかどうかの目安になると思います。
ブランド品・宝石の買取をしているか
貴金属の買取価格は先ほどお伝えしたように「地金の買取価格」×「製品の重量」で決まります。
ですが、それがブランド製品だった場合はさらに付加価値がつく場合があります。
買取業者によって取り扱うブランドが違っていますので、ブランド製品を売る場合はそのブランドの買取を行っているお店を探すようにしましょう。
また、買取専門店などの中には、宝石鑑定士の資格であるGIAやFGAを持っているスタッフが常駐しているお店もあり、ジュエリーにセッティングされている宝石も買い取ってもらえる場合があります。
特にダイヤモンドや高品質なルビー、サファイア、エメラルドなどは買取の対象となる可能性が高いです。
希少宝石も取り扱っている場合がありますから、宝石買取を行っているかどうかも確認しておくと良いですよ。
査定額の説明をしてくれるか
なぜこの買取価格になったのか、査定の説明を丁寧に教えてくれるお店は安心しますよね。
きちんとした鑑定士であればただ査定をして金額を出すだけでなく「なぜこの価格になったのか」を地金レートやジュエリーの相場を踏まえて説明してくれますし、こちらの質問に明確に答えてくれるはずですよ。
査定をするだけでなく、きっちりと説明してくれるお店の方が売る側としても安心ですよね。
最後に
金のネックレスの買取価格についてお話させていただきました。
日次価格16,000円/gの時に5gのK18ネックレス(40cm)を売る場合、60,000円ほどになるという仕組みもお分かり頂けたでしょうか。
お店に行く前に、あらかじめその日の金相場を確認しておいて、ご紹介した計算方法でおおまかな買取価格をイメージしておくと良いですよ。
もし予想よりも大幅に値段が下がるようなら、しっかり理由を聞くようにして、納得できなければ他のお店も回ってみましょう。
査定をしてもらったからといって、絶対に売らなければならないことはありません。
色々なお店に見積書を出してもらい、比較検討する方も多いですよ。
大切に使っていたジュエリー、最後まで納得いく形で手放せると良いですね。
カラッツ編集部 監修
宝石に魅了され、JBS宝石・ジュエリー鑑別鑑定士の資格をとったのち、神戸のジュエリー卸会社に入社。その後ジュエリーコーティネーター2級、ジュエリーリモデルカウンセラー2級を取得。少しでも多くの方に宝石の楽しさ、ジュエリーの素晴らしさを感じていただけたら嬉しいです。