モノ作りが好きで、専門学校でジュエリーデザインとメイキングを学びました。卒業後はジュエリー卸メーカーに就職。デザインと営業に携わりました。好きな宝石はダイヤモンドです。
子どもが「本を売りたい」と言うので、古本屋に付き添ったことがあります。
「保護者の同意と、保護者の身元を証明する物が要ります」と言われ、書類を書き、免許証の提示をしました。
そこで、ふと思いました。「これが宝石だったらどうなのかな?」
未成年者であっても、例えばご先祖から受け継いだものなど、自分の宝石を売りたいという人もいるかもしれません。
その場合もやはり保護者の同意が必要なのでしょうか?
そこで今回は未成年者の宝石買取について調べてみました。
目次
宝石を売ることができるのは何歳から?
古物(中古品)の売買には「古物営業法」という法律があり、都道府県が許可した業者のみに古物を売ることができます。
そして古物を売ることができるのは成人、つまり20歳からです。
これは宝石に限らずどんな物でも同じで、未成年者から品物を買取ることは法律で禁じられています。
ただし「例外」として認められることもありますので、後の項目で説明してまいりましょう。
買取に関する条例とは?
東京都では「青少年の健全な育成に関する条例 」により、次のような取り決めがあります。
※東京都に限らず多くの自治体が未成年者からの買取に制限をかけていますが、今回は例として東京都の場合を取り上げています。
(質受け及び古物買受けの制限)
第十五条
質屋(質屋営業法(昭和二十五年法律第百五十八号)第一条第二項に規定する質屋をいう。以下同じ。)は、青少年から物品(次条第一項に規定する物を除く。)を質に取つて金銭を貸し付けてはならない。2 古物商(古物営業法(昭和二十四年法律第百八号)第二条第三項に規定する古物商をいう。以下同じ。)は、青少年から古物(次条第一項に規定する物を除く。)を買い受けてはならない。
3 前二項の規定は、青少年が保護者の委託を受け、又は保護者の同行若しくは同意を得て、物品の質入れ又は古物の売却をするものと認められるときは、適用しない。
4 何人も、正当な理由がある場合を除き、青少年から質入れ又は古物の売却の委託を受けないように努めなければならない。
もし、条例が守られなかったら?
この条例が守られなければ、30万円以下の罰金を科せられることがあるそうです。
親の同意なく店側が未成年者から品物を買い取ってしまった場合は、店側が「条例違反」とされ、摘発されてしまうこともあるのです。
保護者の同意がなく未成年者が品物を売った場合、保護者は取引を取り消す権利があり、買取店は保護者に品物を返還する義務があります。
保護者が返還を求めてきた時にすでに買取店が転売してしまっていた場合は、買取店が損害賠償責任を負うことになります。
未成年者が品物を売ってはいけない理由は?
未成年者であっても、おこづかいや働いたお給料で好きなものを買うことができます。
では、なぜ未成年者からの買取には制限があるのでしょうか?
一般的には「法律だから」で済まされてしまうかもしれません。
しかし「古物営業法」は「盗品売買の規制」のための法律でもあるのです。
子ども(未成年者)が親の宝石を黙って持ち出し売ってしまうということもあるかもしれません。
未成年者の古物売買を禁じる条例は、そのようなことを防ぐための条例でもあります。
お店によっては条例違反による店側のリスクの大きさを考えて、未成年者からの買取に独自の制限をかけているところも多いようです。
未成年者が宝石を売る方法はないの?
基本的には、未成年者が宝石などの品物を売ることはできません。
しかし「青少年の健全な育成に関する条例 」の4にもある通り、正当な理由があれば「例外」として認められます。
ではどのようにすれば認められるのでしょうか?
一般的に買取をしてもらうために必要な物
年齢にかかわらず、古物の売買には身元の確認が義務付けられています。
本人の身元を確認できる次のような書類の提示が求められます。
運転免許証、健康保険証、パスポート、住基カード、在留カード、個人番号カード、運転経歴証明書、特別永住証明書、のうちのいずれかひとつを買取店に提示することが必要です。
未成年者が買取してもらうために必要な物
高校生までは原則自分だけでは売却不可と思っておいた方が良いでしょう。
しかし18歳、19歳であれば、必要書類が揃っていれば品物を売ることができます。
必要書類とは「その品物の所有者が誰であるか」ということによって違ってきます。
未成年者が買取を希望する場合、その品物が自分の物であっても保護者の「同意書」が必要です。
そしてその品物の所有者が父母である場合は、同意書は要りませんが「委任状」が必要になります。
インターネットの売買業者であっても同様に、身分証等の提出は必須です。
18歳に満たない未成年者が品物を売りたい場合は、保護者か成人である誰かに代行してもらうしか手段はありません。
終わりに
「なぜ未成年者から買取ができないのか」と「したい場合はどうしたらいいのか」ということがお分かりいただけましたでしょうか。
使わなくなってしまった貴金属。どうせなら売って別のことにお金を使えたらいいですよね。
それは大人でも未成年者でも同じこと。
しかし未成年者が宝石の買取をしてもらうには、保護者の同意を得るか、保護者または信頼のおける大人に代行してもらうのがベターなようです。
必要な時はぜひ参考にしてくださいね。
カラッツ編集部 監修
モノ作りが好きで、専門学校でジュエリーデザインとメイキングを学びました。卒業後はジュエリー卸メーカーに就職。デザインと営業に携わりました。好きな宝石はダイヤモンドです。