高貴なグリーン 5月の誕生石 宝石エメラルドのすべて
四大宝石のひとつ、エメラルドは5月の誕生石です。
宝石に詳しくないという方でも、エメラルドの名前はご存知なのではないでしょうか。
気品あふれるエメラルドの魅力を探ってみましょう。
エメラルドってどんな石?
エメラルドはベリル(緑柱石)という鉱物グループの中のひとつで、強い緑色を帯びています。
和名は翠玉(すいぎょく)、緑玉(りょくぎょく)と言います。
語源は、サンスクリット語で「緑色の石」を意味する「スマラアタ」。
それが、スマトラグドス(ギリシャ語)、スマラグダス(ラテン語)、スマラルダス(ラテン語)と変化し、古フランス語の「エスメラルダ」を経て、エメラルドという呼び名になりました。
明るく濃い緑色のエメラルドが最高級。大きくて傷が少ないものほど、価値が高いとされています。
エメラルドの産地と歴史

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エメラルドの最も有名な産出国といえばコロンビア。ほかには、ブラジル、マダガスカル、ジンバブエ、ザンビア、パキスタンなどの産出地があります。ちなみにエメラルドは産地鑑別のできる石です。
エメラルドの鉱山の多くは、かつての海底だったため、岩塩の結晶や塩水をインクルージョン(内包物)に含むものもあります。
エメラルドは、宝飾品のほか、宗教儀式や占星術、医療、お守りと、多岐にわたって使用されてきました。
ローマの大プリニウスは紀元前1世紀に完成した「博物誌」に「この緑色以上に緑のものはない」と記しています。
「クレオパトラが愛してやまなかった宝石」
としても有名ですね。
また、ローマ帝国時代の遺跡からもエメラルド製品は多く出土されています。
しかし、そんな古い歴史を持つエメラルドですが、大量に流通するようになったのは意外にもアメリカ大陸発見後、つまり新大陸で発見されてからなのです。
石言葉と言い伝え
エメラルドの石言葉は、幸福、幸運、希望、安定です。
古くから「叡智」を象徴する宝石で、知的な職業に就く人々から愛されてきました。
また愛の力が強い宝石でもあるので、恋愛、結婚のお守りとしても有効です。
エメラルドを身につけると、疲れた心身を癒すとともに知恵や忍耐力がつき、人間として成長できるとの言い伝えもあります。
衝撃に弱く割れやすいエメラルドの特徴
天然のエメラルドには内部に無数の傷があります。逆に言うと、傷があることが天然のエメラルドであるという証でもあります。
しかしそれ故にエメラルドは、硬度が高いにもかかわらず衝撃に弱く欠けやすいという性質があるともいえます。
石留め加工をするだけで割れることもあり、そのもろさは「職人泣かせ」と言われるほど。
印象的な緑色の面を大きく見せる「エメラルドカット」も、六方柱型が特徴のコロンビア産エメラルドを、もっともロスの少ない方法で美しくカットできることからポピュラーになったといわれています。
石のもろさを補うために通常、含浸処理という処理が施されることが一般的です。
※ 処理について詳しく知りたい方にはこちらの記事がオススメです。
▶︎【決定版】宝石の処理とその価値についてまとめ
エメラルドのお手入れ方法
エメラルドはとってもデリケート。
衝撃に弱いだけでなく、太陽光や水にも弱いので、取り扱いには十分気を付けましょう。
普段のお手入れは、身につけた後に柔らかい布で拭くだけで十分です。
そして絶対にやってはいけないことは、超音波洗浄機にかけることです。
強度を保つためのオイルが抜けてしまい、割れる原因となります。
傷も魅力のうち
エメラルドの魅力について、ご紹介しました。
「エメラルドと人間に傷のないものはない」という言葉があります。
それほどエメラルドに傷は付き物ですが、個人的には無傷の美しいエメラルドからはむしろ冷たい印象を受ける気がします。
表情のある傷(インクルージョン)が、かえって温かみを感じることができるからです。
人間も同じ。完璧な人間はいませんし、欠点がその人の魅力になっているとも言えますよね。
無傷のエメラルドと傷のあるエメラルド、あなたはどちらがお好きですか?
カラッツ編集部 監修