アパタイトってどんな宝石?パライバトルマリンに似てるって本当?色の種類は?

美しいブルーやエメラルドグリーンのイメージが強い宝石、アパタイト。

「アパタイト」と聞くと歯磨き粉をイメージされる方も多いのでは?

聞き覚えがあるようでないような・・・なんだか気になる名前の響きの宝石ですが、美しい色合いが多く、パライバトルマリンのような色合いのものや、優しいピンクカラーなど、含有する成分によって様々な色を見せてくれる宝石です。

今回は、そんなアパタイトの色や種類を交え、魅力をお話ししたいと思います!

アパタイトの特徴

アパタイト

鉱物名、宝石名共にアパタイトで和名を燐灰石(りんかいせき)といいます。

実は「アパタイト」というのは一つの鉱物を指す名称ではなく、「燐灰石スーパーグループ」の中の「アパタイトグループ」の総称です。

含有する成分によって様々な色を発色しますので、カラーバリエーションの多い宝石の一つです。

その一つ、ネオンブルーのアパタイトはパライバトルマリンとよく似ています。そのためパライバトルマリンの代用品として扱われることもあるそうです。

宝石の中でネオンカラーのグリーンがかったブルーを発色するのはパライバトルマリンとアパタイトのみといわれています。

パライバトルマリンに比べると大粒のものが採れることもあるアパタイトは、稀少なパライバトルマリンの代わりとして適しているという訳ですね。

ただし、硬度7のパライバトルマリンに対しアパタイトは硬度が5とガラスで傷つくほどに柔らかいので、ジュエリーとして扱う場合には注意が必要です。

名前の意味

ごまかす、騙すといった意味のあるギリシャ語「apate(アパタオ)」から名付けられています。

その理由は、アパタイトの結晶が晶癖(しょうへき)という、

違った形状で結晶を作る為に一つの鉱物に見えない

ことから由来しています。

トルマリンやペリドットやベリルかと思ったらアパタイトだった、という様々な宝石と混同されて来た歴史の証でもあるかもしれません。

産地

アパタイトの主な産地はブラジルですが、その他はカナダ、メキシコ、ミャンマー、スリランカ、マダガスカル、スペイン、モザンビーク、スウェーデン、ケニア共和国と、比較的産出地の多い宝石です。

アパタイトの色

アパタイト
アパタイトは、パライバトルマリンに似た色合いを発色する宝石として有名になったこともあってか、エメラルドグリーンやブルーの印象が強い方も多いかもしれませんが、実はいろんな色を見ることが出来ます。

グリーンやバイオレット、ピンク、イエローやイエローグリーン、褐色やグレー、クリアカラーなど、色が豊富なので、色相を頭にして「グリーン・アパタイト」「イエロー・アパタイト」といくつかの俗称で呼ばれることもあります。

ネオンブルーのいわゆるパライバカラーや、ピンクパープルクリアカラーなどはアパタイトの中では稀少で小粒のモノも多いといわれています。

大粒のモノを探すのであれば、セージグリーンの「セージ・アパタイト」の方が見つけやすいようです。

その他にもアスパラガスを思わせる、イエローグリーンの「アスパラガス・ストーン」深いブルーグリーンの「モロキサイト」などもあります。

しかしアスパラガス・ストーンやモロキサイトは、美しい色合いで人気は高いが産出は少ないといわれていますので、あまり市場には多く出回っていないかもしれません。

光彩効果も楽しめるアパタイト

アパタイトキャッツアイ ルース

アパタイトには、独特な光彩効果を楽しむことが出来るものも採石されます。

順番にご紹介していきますね!

多色性(二色性)

「多色性」といわれる

見る角度によって違う色が楽しめる効果

がみられます。

その中でもアパタイトは「二色性」という、二つの色が楽しめる宝石です。

二色性は色合いに関わらず、全てのアパタイトに見られる効果です。

キャッツアイ効果(シャトヤンシー)

アパタイトキャッツアイ ルース
アパタイトにはカボションカットに研磨すると、猫の目のような光の帯が浮かぶ、「キャッツアイ効果(シャトヤンシー)」が表れるものも。

キャッツアイ効果のあるアパタイトは「アパタイト・キャッツアイ」と呼ばれ、特にブルーのアパタイト・キャッツアイは人気も高く、他の色よりも高値で取り扱われます。

カラーチェンジ効果

ごく稀に光源を変えると違う色を楽しむことが出来る、カラーチェンジするアパタイトが産出されることがあります。

自然光や蛍光灯の下では、抹茶のような落ち着いた色で、ブラックライトなどの紫外線ライトを当てると朱色の蛍光色を発色します。

そしてろうそくの光や白熱灯の下では茶褐色がかった落ち着いたパープルとなります。

光によって色を変化させる宝石で有名なのは、アレキサンドライトですが、それとはまた違った変化をアパタイトは見せてくれるので、面白いですよ!

カラーチェンジ効果が楽しめるアパタイトは、前述した2つの光彩効果のものより希少性が高く、コレクターに人気の傾向があります。

最後に


ブルー系の色合いの印象が強いですが、多くの色や効果が楽しめるアパタイト。

宝石品質のものの産出は少ないといわれていますので、内包物の少ない鮮やかな色を発色するアパタイトは希少かもしれません。

モース硬度は5と柔らかくデリケートですが、美しい発色を見せてくれるので、不意にぶつける可能性のあるリングよりネックレスやピアスとして楽しむのがおすすめです。

ネオンカラーのエメラルドグリーンを発色するので、パライバトルマリンの代用としてはもちろんのこと、レアなピンクやイエローグリーンのアパタイトもとても魅力的。

見かけたらぜひ注目してみて欲しい素敵な宝石です☆

カラッツ編集部 監修

ABOUT US

毎日200個以上の宝石に触れる仕事に就いています。タンザナイト、ベニトアイト、パパラチアサファイアなど多色性のある宝石が好み。宝石のことをあまり知らない方にも、分かりやすい記事作りを心掛けます。